「何か達成したい目標があるとき、相手を説得し、対立する意見をまとめていく交渉力の有無が、結果を左右する。どんな職種・役職であれ、何かを成し遂げるために必須となるのが交渉力だ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学政治経済学部卒業、橋下綜合法律事務所を開設、2008年に38歳で大阪府知事、2012年大阪市長に就任し、大阪府庁1万人、大阪市役所3万8000人の組織を動かし、絶対に不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や行政組織・財政改革などを成し遂げた橋下徹さんが書いた、こちらの書籍です。
橋下徹『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』(PHP新書)
この本は、著者の橋本さんが弁護士時代、大阪府知事、大阪市長、「維新の会」代表時代に身につけてきた交渉力の要諦をまとめたものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.「最強の交渉術」とは?-交渉に勝つための原則を知る
2.交渉は始まる前に9割決まる
3.要素に分解すれば、交渉は成功する
4.前代未聞の交渉を成功させた秘訣-目標を成し遂げるために、いつ何をすべきか
5.「力」を使い「利益」を与える-公明党、国とのガチンコ交渉の舞台裏
6.トップの「実践的ケンカ交渉術」に学べ-日本の交渉力を高めるために
この本の冒頭で著者は、「交渉」というと難しく感じるかもしれないが、要は「話をまとめる力」だ、と述べています。
そして交渉成功のポイントを1つだけ挙げるとすれば、「自分の要望の整理」と説明しています。
「絶対に譲れない要望」と「譲ってもいい要望」に分けて、優先順位付けができている、という事前の準備で、交渉の9割以上は決まる、ということです。
本書の前半で著者は、「最強の交渉術」として、実践的交渉の3つの手法を以下の通り挙げて、解説しています。
1.利益を与える/譲歩する
2.「合法的な脅し」を使う
3.お願いする
続いて、修羅場から体得した「橋下流交渉術」の極意として、事前準備とその使い方について、次のポイントを提示して説明しています。
◆ 要望の整理とマトリクス(お互いの要望・譲歩のマトリクスを作る)
◆ 譲歩のコツは、「先行譲歩」と「仮想の利益」、そして大きな譲歩をしたように「見せる」具体的手法
◆ 交渉に関する誤解は、価値観や信条が合わなければ交渉はまとまらないという思い込み
◆ 本当の交渉の名手がしていることは、「組織の優先順位」の確認と、相手に譲歩の余地がない場合は交渉以外の道を考えること
この本の中盤では、「交渉の成否を決める分岐点」と「目標を成し遂げるために、いつ何をすべきか」について、著者の経験をもとに説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 要素に分解すれば、交渉は成功する
◆ お互いの一致点を拡げ、不一致点を狭めていく
◆ 抽象的な概念を、具体的レベルに落として議論する
◆ 怒っている相手とは必ず顔を合わせる
◆ 根拠のない「脅し」は聞き流す
◆ 公明党の「譲れないライン」をつかんで交渉が一気に動いた
本書の後半では、「国とのガチンコ交渉の舞台裏」と「日本の交渉力を高めるために」をテーマに、著者の考え方を提示しています。主な内容とポイントは以下の通りです。
◆「国直轄事業負担金」見直しの提言
◆「なにわ筋線」事業決定までの道のり
◆ 大阪の二つの空港を統合・完全民営化
◆ 自分たちの力を冷静に分析・評価せよ
◆「ケンカの王道」を知って交渉に活かせ
◆ 負け戦を避けるのは「躊躇なくいったん退く」
◆ 表の交渉と裏の交渉を使い分ける
◆ 交渉力を高めるために、まずは自らの力を高めよ
あなたも本書を読んで、結果が変わる伝え方・考え方を軸とする「交渉力」について学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2447日目】