「年金は年を取った時のものというより、むしろ万一の時のためのものと考えて、その仕組みや内容を理解しておくことが大切であると思います。制度を知らなかったばかりにもらえるはずの年金がもらえなかったということがあるとすれば不幸なことです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、福岡県北九州市在住、北九州市立大学文学部国文学科卒業後、ヤマハ音楽教室ポピュラーピアノ科で講師を務めるかたわら、ジャズ・ポピュラーピアニストとして演奏活動を開始、その後フリーのレスナーとなり、ピアノ教本、曲集、音楽解説書などを数多く出版、講師とした活動した後、55歳で社会労務士試験に合格、翌年「宮本みちえ社労士事務所」を開所している社会保険労務士の宮本満栄さんが書いた、こちらの書籍です。
宮本満栄『知ってるようで知らない厚生年金の本当の実力』(日本橋出版)
この本は、会社員のための厚生年金の解説書で、厚生年金の障害年金や遺族年金も含めて、その制度や保証内容について分かりやすく説明している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.老齢年金
2.障害年金
3.遺族年金
4.離婚時の年金分割
本書の前半では、「老齢年金」について、以下のポイントを解説しています。
◆ 老齢厚生年金は65歳からの支給が原則だが、65歳前に特別支給を受ける人がいる
◆ 厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金をもらうと、在職老齢年金となる
◆ 高年齢雇用継続給付との調整がある
◆ 65歳からの老齢厚生年金には「配偶者加給金」が条件を満たせば支給される
◆ 老齢基礎年金は国民年金と同じ480ヶ月加入が上限
◆ 老齢基礎年金は国が税金で半分負担してくれている
◆ 年金の繰り上げ受給は1カ月ごとに0.4%減額される
◆ 年金の繰り下げ受給は1カ月ごとに0.7%増額される
◆ 年金の繰り上げ、繰り下げとも留意点があり、年金事務所に相談する
この本の中盤では「障害年金」について説明しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 障害年金の受給資格は、①初診日、②保険料納付要件、③障害認定日、④障害等級がポイント
◆ 身体障碍者手帳と障害年金は全く関係ない
◆ 障害年金は障害認定日以降に請求することができる
◆ 65歳以降は障害年金か老齢年金を選択する
◆ 障害年金は、労災保険や傷病手当金(健康保険)との調整がある
本書の後半では、「遺族年金」および「離婚時の年金分割」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 遺族年金は亡くなった人に25年以上の資格期間が必要
◆ 遺族年金は亡くなった人の死亡時に「生計を維持されていた人」が対象
◆ 具体的には前年の収入850万円未満または所得665万5,000円未満
◆ 未支給年金は遺族が受け取る
◆ 離婚時の年金分割は厚生年金のみ(基礎年金は個人ごと)
◆ 分割の対象になるのは、婚姻期間中の厚生年金だけ
◆ 婚姻期間中に夫婦領邦が厚生年金に加入していれば、両社の厚生年金が分割対象
◆ 分割の方法は、「合意分割」または「3号分割」
この本の締めくくりとして著者は、「日本の年金制度は非常に優れたものですが、とても複雑です。」と述べています。
あなたも本書を読んで、会社員として正確な「厚生年金の実力」を把握し、将来に備えていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2985日目】