「言葉にできないことは、考えていないのと同じことである」と説いている本があります。
本日紹介するのは、株式会社電通のコピーライターでコンセプターの梅田悟司さんが書いた、こちらの書籍です。
梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)
この本は、「梅田さんは、どうやって伝わる言葉を生み出しているんですか?」という周囲の問いかけに答え、自分の中にある思いを言葉にする方法を体系化するために書かれました。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.「内なる言葉」と向き合う
2.正しく考えを深める「思考サイクル」
3.プロが行う「言葉にするプロセス」
本書の冒頭で著者は、伝わり方には次のようなレベルがあり、伝わり方は人間性の評価につながる、と指摘しています。
◆ 不理解・誤解
◆ 理解
◆ 納得
◆ 共感・共鳴
また、多くの人が「外に向かう言葉」しか意識できていないが、「内なる言葉」で意見を育てることが大切だと提唱しています。
次に本書では、正しく考えを深めるため、以下のような「思考サイクル」を説明しています。
1.頭にあることを書き出す<アウトプット>
2.「T字型思考法」で考えを進める<連想と進化>
3.同じ仲間を分類する<グルーピング>
4.足りない箇所に気付き、埋める<視点の拡張>
5.時間を置いて、きちんと寝かせる<客観性の確保>
6.真逆を考える<逆転の発想>
7.違う人の視点から考える<複眼思考>
この中で、「T字型思考法」とは、「なぜ?」、「それで?」、「本当に?」を繰り返し、考えを掘り下げ、考えを進め、考えを戻すことで、連想と進化を促す思考法のことです。
また、文章を書くときも同じですが、時間をあけて「寝かせる」ことで客観性を持たせたり、逆転の発想をしたり、違う立場の人からの複眼思考をしたりすることは、説得力を持たせるために、極めて重要です。
さらに、本書の後半では、プロが行う「言葉にするプロセス」が解説されていて参考になります。それは、①日本語の「型」を知ること、および、②言葉を生み出す心構えを持つこと、という2点から成っています。
まず第1点目の「日本語の型を知る」として、次の5点を紹介しています。
1.たとえる<比喩・義人>
2.繰り返す<反復>
3.ギャップをつくる<対句>
4.言いきる<断定>
5.感じる言葉を使う<呼びかけ・誇張・擬態>
次に、第2点目の「言葉を生み出す心構えを持つこと」として、以下の7つを挙げています。
1.たった一人に伝わればいい<ターゲッティング>
2.常套句を排除する<自分の言葉を豊かにする>
3.一文字でも減らす<先鋭化>
4.きちんと書いて口にする<リズムの重要性>
5.動詞にこだわる<文章に躍動感を持たせる>
6.新しい文脈をつくる<意味の発明>
7.似て非なる言葉を区別する<意味の解像度を上げる>
そして、本書には途中の節目に、コピーライターの著者らしく、伝える力のあるメッセージが散りばめられていて、心に訴える言葉があるので、最後に紹介しておきます。
◆ 思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない
◆ 気持ちをはっきりと認識できた時、言葉は自然と強くなる
◆ とにかく書き出す、頭が空になると考える余裕が生まれる
◆ 自分の可能性を狭めているのは、いつだって自分である
◆ 「いつか」はいつまでもやってこない、やる気を行動に変える
◆ 気持ちを整理しさらけ出す、その熱量に心は動かされる
◆ 考え抜かれた言葉は、人々を導く旗になる
◆ 誰一人として平均的な人などいない、顔を思い浮かべ反応を予測する
◆ 体験の幅を広げることが、動詞の幅を広げることにつながる
◆ 言葉を生み出すために必要なのは、動機である
◆ 言葉にできないということは、言葉にできるだけ考えられていないことと同じである
あなたも本書を読んで、「言葉にできる」は武器になることを学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を