「自分で人生を歩き始めるということは、海図もない大海に漕ぎ出していくようなものです。そのとき、人生の先輩から教わったことが羅針盤(コンパス)として思い出されるような準備だけはしておくべきです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1932年生まれ、鹿児島大学工学部卒業、京都セラミック(現・京セラ)を設立、社長、会長を経て名誉会長を務めるほか、第二電電(KDDI)を設立して会長に就任、さらに経営破綻した日本航空(JAL)の会長に就任して再生、また稲盛財団を設立、「盛和塾」の塾長として経営者の育成に心血を注いできた稲盛和夫さんが書いた、こちらの書籍です。
稲盛和夫『心を高める、経営を伸ばす』(PHP研究所)
この本は、著者の稲盛和夫さんが、仕事で苦しみ、人生で悩み、真剣に考える中で、学び取ったものを、若い人たちが仕事や人生の途上で障害に行き当たったときに思い起こしてもらうために書かれたものです。
本書は以下の15部構成から成っています。
1.はじめに
2.素晴らしい人生をおくるために
3.働く喜びを見つめるために
4.困難に打ち勝つために
5.正しい判断をするために
6.仕事を向上させるために
7.自分を高めるために
8.新しいことを成し遂げるために
9.部下・後輩を持ったときのために
10.素晴らしいリーダーであるために
10.真の経営を行うために
12.心をベースとした企業とするために
13.新たな活路を開くために
14.事業を伸ばすために
15.経営の王道を歩むために
この本の冒頭で著者は、「人生とはドラマであり、それを演ずる主役が自分なのです。一生かけてどういうドラマを描くか、私たちに問われているのです。」と述べています。
この言葉を心に刻む、私自身、人生100年時代、「トリプル・キャリア」による生涯現役で、「自分が主役の人生」を目指しています。
続いて「素晴らしい人生を送る」ために、本書で著者は以下のポイントを提示しています。
◆ 人生の目的を求める
◆ 真剣勝負で生きる
◆ 人生に対する目標を持つ
◆ 人生・仕事の結果=考え方 × 熱意 × 能力
◆ 一歩一歩の地道な努力で夢を実現する
次に、働く喜びや困難など、仕事を向上させるためのコツとして、著者は以下のことを挙げています。
◆ 生きがいをつくる
◆ 仕事を好きになる
◆ 信念にまで願望を高める
◆ 心の次元を高める
◆ 原点を見失わない
◆ 夢を描き続ける
◆ 土俵の真ん中で相撲をとる
◆ 大胆にして細心であれ
本書の中盤では、自分を高め、新しいことを成し遂げ、素晴しいリーダーであるための心構えを、次の通り提示しています。
◆ 自分に打ち勝つ
◆ 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
◆ 可能性を信じる
◆ 無私の心が人を動かす
◆ 大善をもって導く
◆ 謙虚な姿勢を持つ
◆ 健康な心身が公正な判断を生む
◆ 自分自身を磨く
この本の後半では、真の経営を行い、事業を伸ばし、経営の王道を歩むために大切なこととして、次のポイントを挙げています。
◆ 次元の高い目的を持つ
◆ 本質を見極める
◆ 起業哲学を打ち出す
◆ 心が偉大な業績を生む
◆ 目標を高く持つ
◆ 今日を懸命に生きる
◆ 経営に打ち込む
◆ 心の修練を積む
この本は1989年にPHP研究所から刊行され、京セラ株式会社の経営の根幹をなす経営理念を広く世の中に公開し、書籍化したもので、本書はその「新装版」です。
わが国を代表する経営者である稲盛和夫さんの「心を高める、経営を伸ばす」という経営理念を学べる本書を、心から推薦します。
2020年5月10日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第90回】稲盛和夫の経営哲学「心を高める」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!