「いま起きている長寿化は、遅く生まれた人ほど長生きする現象と言えます。私たちの父母は祖父母より長寿であり、私たちは私たちの父母より長寿です。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1958年生まれ、東京大学工学部卒、修士(土地経済学、ケンブリッジ大学)、博士(工学、東京大学)、三菱総合研究所にて社会資本、社会保障などの調査研究に従事、MRIリサーチアソシエイツ代表取締役社長等を経て、現在は三菱総合研究所常勤顧問の長澤光太郎さんが書いた、こちらの書籍です。
長澤光太郎『還暦後の40年 データで読み解く、ほんとうの「これから」』(平凡社)
この本は、これからの高齢期の姿を、データに基づき、様々な面から考察した書です。その対象は、いま還暦前後の世代としています。
本書は以下の2部構成から成っています。
1.還暦後を読み解く7つの視点
2.「還暦後」への新たな視点
本書の前半では、「還暦後を読み解く7つの視点」として、次の7つの疑問およびそれに対する考察を掲載しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 私たちは平均寿命で死ぬわけではなく、還暦後の余命は中央値に注目
◆ 還暦者の半数が到達する年齢は、男86歳、女91歳
◆ 現在の還暦世代は、半数以上が90歳に到達する可能性が高い
◆ 死亡率が確実に100%になる理論値年齢は、女122歳、男115歳
◆ 一生のうちがんに罹患する割合は、女42.6%、男63.9%
◆ 60歳から90歳までにがんで亡くなる確率は、女13%、男24%
◆ 日本人の健康寿命、健康余命は世界一
◆ WHO予測では、日本人60歳の健康余命は、男19年、女22年
◆ 自立して生活できる期間は長く、平均寿命との差は1~3年
◆ 要介護3以上になる確率は、70歳で1%、80歳で3%(男女)
◆ いまの75歳の体力は、20年前の65歳と同等
◆ いまの還暦世代が90歳に到達したときの体力年齢は現在の75歳と同じ
◆ 自覚症状のある「有訴率」は減少傾向、「老化の減速」は明らか
◆ 生活習慣を整え先端機器を活用すれば、90歳までの自立の可能性は高まる
◆ 認知症は80代から有病率が増加し、90歳で女6割、男4割強となる
◆ 80代以降の認知症発症防止には、早期からの生活習慣改善が効果的
◆ 加齢により衰退する知力と維持される知力がある
◆ 維持されるのは言語能力などで、「結晶性知能」と呼ばれる
◆ 一部機能が衰えても、他の機能がそれを補完し、高い能力を発揮し得る
◆ 還暦後の健康も長寿も、自らの意志や生活習慣に依存する
本書の後半では、「還暦後への新たな視点」として、以下のポイントを解説しています。
◆ 還暦後の30年間、健康で自立的に暮らすことは可能
◆ 60代はアイデンティティが揺らぎ、ストレスへの対応が重要な時期に
◆ 喪失体験が多いのに幸福感が高まるエイジング・パラドックス
◆ 90年の人生を30年で区分してみる
◆ 60歳から「つながり」は重要テーマ、家族や人間関係
◆ 60歳から「時間(の使い方)」は、①余暇の拡大、②ネットのフル活用、③友人・知人との交流の増加
◆ 60歳から「お金」は、働く人の増加と資産を守ることの重要性
◆ 60歳から「住まい」は、引っ越し、リフォーム、地方移住などの選択
この本の締めくくりとして著者は、「30年後に90歳になった自分から、60歳の自分を回想してみる」ことを記しています。「あの時に始めていれば、30年できた」ということがあるかも知れません、ということです。
さらに「今後30年間は、健康で自立的に生きられる、という前提がハッキリすれば、還暦以後の人生が、さまざまな可能性を秘めたものに見えてこないでしょうか。」と述べています。
あなたも本書を読んで、データで読み解く「還暦後40年の真の姿」学び、90歳までの人生設計を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3056日目】