企業の戦略を語るために必要な「会社の数字」にまつわる知識を大胆に「わしづかみ」する技術を紹介・解説している本があります。
本日紹介するのは、横浜国立大学工学部大学院工学研究科修了、株式会社HRインスティテュートの創業者フェローの野口吉昭さんが監修、株式会社HRインスティテュートによる、こちらの書籍です。
野口吉昭 監修・株式会社HRインスティテュート 著『30ポイントで身につく!「会社の数字を読み解く」技術』(PHP研究所)
この本は、数字という裏付けのある「企業戦略」を語ることができる「会社の数字マスター」になるための第一歩として、自分が納得して使える分析技術のノウハウ・ドゥハウを30ポイントで身に着けるための書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.事業を資産と収益で語る
2.財務諸表から戦略を読み取る
3.財務諸表の限界と、未来を描く方法
4.現場が戦略的に動くための数字の捉え方
この本の冒頭で著者は、「会社の数字にまつわる知識を大胆にか『わしづかみ』するメリットは、全体観の把握、次の一手、戦略の方向性の決定が可能になるという点にあります。」と述べています。
本書の前半では、「事業を資産と収益で語る」ための基本を「わしづかみ」して解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 財務諸表は「わしづかみ」が基本、大きな流れを捉える
◆ 資産総額-負債総額=純資産
◆ 答えがない時代は、貸借対照表を見よ
◆ 損益計算書における「5つの利益」を押さえる
◆「過去-現在-未来」の軸で会社数字を捉える
この本の中盤では、「財務諸表から戦略を読み取る」技術、および「財務諸表の限界と未来を描く方法」について考察しています。著者が紹介・説明するポイントは次の通りです。
◆ 財務諸表は年度比較・他社比較で分析する
◆ 財務諸表の数字のつながりに注目してストーリーを描く
◆ 収益性・成長性・安全性・効率性の4つの観点から企業経営の実態を把握する
◆ 売上高営業利益率、ROA、売上高および総資本伸び率、自己資本比率、回転率を指標に
◆ CVP分析で利益を考える
◆ 原価分解および固定費・変動費に分けて、損益分岐点分析を行う
◆ 売上高と変動費・固定費・限界利益(売上高-変動費)の関係
◆ 利益構造を語れれば、儲かるビジネスかどうかがわかる
◆ 変動損益計算書で、事業利益計画を描く
本書の後半で著者は、「現場が戦略的に動くための数字の捉え方」を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 顧客・製品・サービス別に営業利益を確認し、採算性を考える
◆ 会社数字を実態に合わせて自ら作り、戦略的に動く
◆ 売上高・営業利益率の2軸で、事業・製品・サービスのポートフォリオを考える
◆ プロダクト・ライフサイクルで考える
◆ 数字の裏付けのある戦略シナリオを描く
◆ ミドルアップダウン型の戦略立案を
◆ ビジョン実現には、➀人(知識・スキル・意識)、②戦略の浸透、③仕組み&評価制度の3つが必要
この本の締めくくりとして著者は、会社・組織のなかで必要となる数字の捉え方を「わしづかみ」することについて、数値の意味、そしてそれぞれの関係を押さえること、つまりストーリーを描くことが大切だ、と述べています。
私が銀行員として数多くの経営者と接し、アドバイスしてきた経験から、本書の会社数字を「わしづかみ」するというコンセプトは、経営者が財務諸表を活用する方法とまったく同じだ、と感じます。
この本を読んで、「会社の数字を読み解く」技術を身につけ、企業の戦略が語れるようになることは、まさに経営者の視点を知り、経営者感覚を養うことにほかなりません。
あなたも本書を読んで、「会社数字の達人」になって、戦略シナリオを描けるようになってみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2588日目】