書評ブログ

『あなたは人生に感謝ができますか?』

「これまでに子どもたちとその家族、そしてエリクソンに教えられたことを、私なりの言葉で、ひとつの人生論としてお話しする」「人生とはなにか。幸せとはなにか。多くの方々から襲えられたことを、お伝えしたい」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1935年群馬県生まれ、新潟大学医学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学児童精神科、東京大学精神科、小児療育相談センター、川崎医療福祉大学などで子どもの精神医療に従事してきた児童精神科医の故・佐々木正美さんが書いた、こちらの書籍です。

 

佐々木正美『あなたは人生に感謝ができますか?』(こころライブラリー)

 

この本は、エリクソンのライフサイクル・モデルを紹介し、育児論に加えて、思春期・青年期以降の、大人としての人生も記している、著者にとってはじめての「人生論」の書です。

 

 

本書は以下の9部構成から成っています。

 

1.人は最後に「人生への感謝」を問われるー老年期

2.人間の生涯には8つのテーマがある

3.母に愛されて、こころが生まれるー乳児期

4.愛されながら、自信をはぐくむー幼児期

5.遊びのなかで、挫折と成長をはぐくむー児童期

 

6.授業時間よりも休み時間に多くを学ぶー学童期

7.仲間を鏡にして、自分を見出すー思春期・青年期

8.結婚に人生をかけ、価値を生み出す―成人期

9.過去と未来をつなぐ架け橋になるー壮年期

 

 

この本の冒頭で著者は、「いま私は、自分の人生にはっきりと感謝ができる」と述べています。ベルクソンが老年期の人々に問いかける「あなたは自分の人生に感謝できますか?」というテーマについてです。

 

 

本書の前半では、人は最後に人生への感謝を問われるー老年期」および「人間の生涯には8つのテーマがある」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 老年期の主題は「人生の統合」

◆ 最後に問われるのは「人生に感謝ができるか」

◆ エリクソンのライフサイクル・モデルでは、人生を8期に分けて、健康で幸福な生き方の順番を示している

◆ 乳児期の主題は「基本的信頼」の獲得

 

◆ 幼児期の主題は「自律性」を身につける

◆ 児童期の主題は、「自主性」をはぐくむ

◆ 学童期の主題は「勤勉性」の基礎づくり

◆ 思春期・青年期の主題は、「アイデンティティ」の形成

 

◆ 成人期の主題は、「親密性」を持つ、家族や同僚とのむすびつき

◆ 壮年期の主題は、「世代性」を生きる、引き継ぎと引き渡し

老年期の主題は「人生の統合」、人生に感謝ができるか

◆ 最も重要なのは、乳児期のテーマ

 

 

この本の中盤では、母に愛されて、こころが生まれるー乳児期」「愛されながら、自信をはぐくむー幼児期」「遊びのなかで、挫折と成長をはぐくむー児童期」および「授業時間よりも休み時間に多くを学ぶー学童期」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 母親に愛されることで、基本的な信頼感が生まれる(「愛着」)

◆ 笑顔の交換が「共感性」をはぐくむ

◆ 分かちあう経験がコミュニケーションを育てる

◆ 自律性のある子は、外ではいい子、家ではだだっ子

 

◆ 教えたら、子どもができるようになるまで待つ

◆ 人間は他者との関係のなかで成長する

◆ ここで自律性を持てなかった子が、いじめをする

 

「子どもは遊ぶのが仕事」というのは本当

◆ 子どもは遊びながら、目標の立て方を学んでいる

◆ 子どものころに思う存分遊べなかった子がニートに

◆ できないことにも挑戦して、自主性を回復する

 

◆ よく遊んだ子は、将来よく働く

◆ 勤勉性は、勉強よりも人間関係によって育つもの

◆「会社が合わないからやめる」のはこの時期のつまずき

◆ 人間関係を構築できず、自分で解決できないから、会社が悪いと考える

 

 

本書の後半では、仲間を鏡にして、自分を見出すー思春期・青年期」「結婚に人生をかけ、価値を生み出す―成人期」および「過去と未来をつなぐ架け橋になるー壮年期」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 仲間という鏡を見て、自分の内面も気にする

◆ 親子の会話は少なくなるが、つながりは消えない

◆ ひきこもる人の増加は、この時期のつまずきか

◆ 人とつながることが人間の支えとなる

 

◆ いい仕事は、親密性から生み出される

◆ 大切な人が友達から仲間になり、そして家族になる

◆ 人間関係のストレスは、人間関係のなかで癒される

◆ 人間は、孤立したまま幸福になることはできない

 

◆ 世代生徒は先人に学び、後進にたくすこと

◆ 世代のつながりのなかで、倫理が生みなおされる

◆ つないでいくものは物理的な財産ではなく文化

◆ 世代性を生きるとは、次の世代を考えるということ

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「幸せな生き方とは、感謝ができるということ」「大切なのは時間やお金ではなく、健康なこころ」と述べています。

 

そして自らの人生を振り返って、「幸福であること。そのことを、自分の努力の結果であると誇る気持ちはありません。」「ただただ、長い半生その時々に、親しく交わる人々にえぐまれて生きてきたという事実に尽きると思います。」と続けています。

 

さらにカナダに留学していた時の恩師二人からの次の言葉を紹介しています。

「人間は孤独には耐えられる。ときには思索などのために、一時的な孤独を必要ともする。しかし、孤立したら生きられない」(クライン教授)

「人を大切にしながら生きなさい、人から大切にされながら生きなさい」(マクターゲット教授)

 

 

あなたも本書を読んで、「幸せな人生」には8つのテーマがあり、人生は「信頼」ではじまり、「感謝」で終わることを学び、エリクソンのライフサイクル・モデルを深く理解して人生に活かしていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3021日目】