「ピンピンころり願望」を問い直す人生論を展開し、「自然に老いて、自然に逝く」老人思想をきたえること、と提唱している本があります。
本日紹介するのは、システムエンジニア、コンサルタント、研修講師、ソフトウェア会社経営などの経歴を持つ木ノ下勝郎さんが書いた、こちらの書籍です。
木ノ下勝郎『人生三毛作 ピンピンころり願望を問い直す人生論と共生思想』(創英社)
この本は、二十歳過ぎたら成人式があるように、古希を区切りに「成老式」という通過儀礼があってもいい、と述べています。
そして、そのためには、シニアだのシルバーだの高齢者だのとごまかさないで、古希を過ぎたらはっきりと「壮年を卒業して老人になる」ことを自覚する老人思想が必要、と提唱しています。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.七十歳過ぎたらなるべく医療と介護を受けない覚悟
2.なるべく医療と介護を受けない覚悟で生きる人生論の必要性
3.往還思想~生者必滅の自然態を受け入れる覚悟のために
4.天道思想~則天去私、敬天愛人をめざす安心立命のために
5.共生思想~西欧思想の基本的人権を問い直すために
この本の冒頭で著者は、「不自然な延命措置を拒否する」意志を明確にし、植物や動物と変わらない自然死、すなわち天寿を提唱しています。
さらに、「尊厳死」や「安楽死」など、倫理上も議論のある問題について、さまざまな見方、考え方を紹介しています。
次に本書では、世間でよく理想と言われる「ピンピンコロリ」願望について、以下の3つのポイントを挙げて不自然な願望だとしています。
1.生と死を対立させて中間状態を想定しない(曖昧性の排除、科学的合理性)
2.老化を自然現象として受け入れない(天命=天道思想の欠如、医療技術依存)
3.老人の社会的役割とい居場所がない(共同体思想の欠如、国家依存)
さらに、大人と子供という「人生二毛作」の思想で、仕事中心価値、競争社会、マネー価値至上社会となっている現在の社会思想からの脱却が必要と著者は言います。
すなわち、少→壮→老の「人生三毛作」と考え、最終章である古希を過ぎたら「この世の後始末、あの世への旅支度」を修練することを目指す「往還思想」を唱えています。
「往還思想」は、自然・社会・国家の中で、自分はどのように「生きて死ぬか?」を主旋律として、次の各論をテーマにする、としています。
◆ 生命観
◆ 人間観
◆ 人生観
◆ 死生観
◆ 自然観
◆ 宗教観
この本の後半では、天が、私-共-公の人間関係を支配していると信じる「天道思想」を紹介し、「老人世代への不自然な延命措置を拒否する」社会保障制度改革を提案しています。
また最後には、「共生思想」を紹介して、仕事に向かって準備する少、学業期世代と仕事を卒業した老、就業期世代が、「配慮-感謝」の人間関係にもとづく政治・経済システムを探求する、と説明しています。
さらに、超高齢社会の老人福祉のあり方に、次世代の若者、現役世代の医療介護の従事者、老人世代との方々が交流し、意見交換する場を願う、と述べています。
あなたも本書を読んで、超高齢社会における社会保障制度のあり方や、その思想背景について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を