書評ブログ

『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』

「AIで雇用がなくなるのか」、「将来、年金はもらえるのか」、「これから日本はどうなるのか」などについて、日本屈指のブレインである竹中平蔵さんと、ビジネス界きっての教養人・出口治明さんが徹底討論したものを書籍化した本があります。

 

 

本日紹介するのは、経済財政担当大臣、金融担当大臣、総務大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任した慶應大学名誉教授竹中平蔵さんと、日本生命出身でライフネット生命創業者出口治明さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

竹中平蔵・出口治明『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』(SB新書)

 

 

この本は、人生100年時代を迎えた今日、「先が見えなくて不安」とか、「不確実性の時代になった」と言われる変化の激しい時代の中で、いかに生きるべきかのヒントを示す対談の記録です。

 

 

テーマは、老後破産、年金崩壊、AI・IT革命、貧困、超高齢化、人口減少など、メディアで報道されている課題に対して、実際にはどう考えて対処したらよいか竹中平蔵さん、出口治明さんという見識ある二人が、的確な未来へのヒントを示してくれています。

 

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

 

1.今、時代はどう動いているのか

 

2.超高齢社会到来!老後のお金の不安とどう向き合うか

 

3.人生100年時代の働き方

 

4.これからの時代に活躍できる人の条件

 

5.日本経済は持ち直すか、そして給与は上がるのか

 

6.日本を根底から変えるために必要なこと

 

 

 

この本の冒頭で竹中平蔵さんは、「産業革命が人の生活を一変したように、グローバリゼーションとデジタル技術によって、社会の構造、生活のあり方が変わり始めている」と指摘しています。

 

 

さらに、シェアリング・エコノミーフィンテックなど、インフラ自体が変わっていくデジタルな「革命」が起きている、ということです。

 

 

また、超高齢化社会の中で、問題になるのは年金ではなく、医療財政であり、格差ではなく「貧困」である、と本書では述べています。

 

 

そして、「明日死ぬと思って生きよ。永遠に生きると思って学べ。」というガンジーの名言を紹介していて、感銘を受けました。

 

 

 

次に、少子化が進行する中で、日本が直面している選択肢次の2つだ、と出口さんは述べています。

 

 

1.皆で等しく貧しくなる

 

2.今以上の生活をキープするためにGDPを上げる

 

 

GDPというのは、「人口×生産性」なので、人口はそう簡単に増やせないとすれば、生産性を上げるしかない、ということです。つまり、「働き方改革」の本質は、「生産性の向上」で、皆でダラダラ残業をしている場合ではない、ということになります。

 

 

とくに、サービス産業が主体の現代では、アイデアこそが生産性向上のカギであり、長時間労働をしていたら、よいアイデアは生まれない、と出口さんは指摘しています。

 

 

 

また、新しいアイデアについては、「人・本・旅」と出口さんは提唱していて、要するに、たくさんの人に会ったり、たくさん本を読んだり、たくさんの場所を訪れたりして、インプットの量を増やさない限り、面白いアイデアは生まれない、としています。

 

 

また、置かれた場所で咲けなければ、別の場所を探せばいいし、定年制の廃止を義務付け、年齢フリーの雇用環境を作り出せばいい、と出口さんは述べています。

 

 

 

この後も、竹中さんと出口さんが、「これからの時代に活躍できる人材」「日本経済の展望」、および「日本を変えるために必要なこと」について、興味深い議論を展開しています。その中のポイントを以下に紹介します。

 

 

◆ これからの時代は、環境変化への「対応力」、すなわち、「考える力」が大切

 

◆ ビジネスで成功したいなら「自分は何をやりたいか」というビジョンを明確に持つこと

 

◆ 「競争力がある」は、①コンペティティブ(Competitive)、②コンピタント(Competent)だが、これからは後者が大切

 

◆ 強さより復元力が大事(Resilience over Strength)

 

◆ 地図よりも羅針盤が大事(Compass over Maps)-マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボの標語

 

 

◆ 羅針盤は、①考える力と、②職人としての「専門性」の2つ

 

◆ 教育よりも学びが大事(Learning over Education)-考える力こそベーシック

 

◆ 「変化こそ唯一の永遠である。」(by 思想家・岡倉天心)

 

◆ 絶対に成功する秘訣とは、「成功するまでやること」

 

◆ やりたいことが明確であれば、我慢ができる

 

 

◆ 人生とは、夢を叶えるプロセス

 

◆ 「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」(アラン『幸福論』)

 

◆ サービス産業は知恵やアイデアの勝負、「メシ・風呂・寝る」の長時間労働はやめて、「人・本・旅」でインプット

 

◆ インフラの運営権を民間に売却するコンセッションが資産活用の決定版

 

◆ レギュラトリー・サンドボックス(規制の砂場)を設けて、新たなビジネス・アイデアを実験してみる

 

 

◆ 「五輪が始まるまでにやっておこう」という締切効果を活用する

 

◆ 労働力減少を解消するキーは大学にある、外国人を大学に呼び込む

 

◆ 「川を上れ、海を渡れ」(歴史を知ること、海外を意識すること)

 

◆ タテ・ヨコ思考で、過去の人の考え方を知る(歴史を学ぶ)、世界にある様々な考え方を知る(世界に出て旅する)

 

◆ メディアの役割は、ファクト・ファインディング(ものごとの本質を伝えること)

 

 

◆ 日本にも道州制が必要

 

◆ 「ペイ・アズ・ユー・ゴー原則」(=何かを支出するときは、その財源を確保しておけ)が大切

 

◆ ウェル・インフォームド・パブリック(=「この政策をやれば、こうなる」という正しい情報提供)が必要

 

◆ 「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」(=①権力から距離を置く、②大衆から距離を置く)-ハーバード大学のニーマン・ファンデーションというジャーナリスト養成機関

 

◆ 日本にもポリシー・インテレクチュアルズ(社会はどうあるべきかを議論するプロ集団)が必要

 

 

 

この本では、メディアでは報道されない未来の生き抜き方が随所に記されていて参考になります。あなたも本書を読んで、人生100年時代に不安のない生き方を学んでみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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