「人工知能に仕事を奪われ職に就けるのはたった1割になる」と、衝撃的な近未来を予測する書があります。
本日紹介するのは、経済学博士で、人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして活躍する井上智洋さんが書いた、こちらの新刊新書です。
井上智洋『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』(文春新書)
この本は、汎用人工知能が出現すると言われている2030年頃の経済システムの構造がどのように変化し、それによって経済成長や雇用がいかなる影響をこうむるかといったことを考察しています。
日本経済は少子高齢化の進行により、成長率がますます低下する構造問題を抱えていますが、汎用人工知能は救いの神になるのでしょうか。
それとも、人々から根こそぎ労働を奪う結果に終わってしまうのでしょうか。しかしながら、汎用人工知能の研究開発を止めることはできません。
というのも、2015年頃から汎用人工知能の世界的な開発競争が始まっており、この技術を最初に実現し導入した国が、世界の覇権を握ってしまう可能性があるからです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.人類 VS. 機械
2.人工知能はどのように進化するか?
3.イノベーション・経済成長・技術的失業
4.第二の大分裂-第四次産業革命後の経済
5.なぜ人工知能にベーシックインカムが必要なのか?
この本では、汎用人工知能の開発により、2つの大きな問題に対して、近年多くの有識者が懸念を表明していることを紹介しています。
一つは、「技術的失業」の問題で、これは2013年にアメリカの経済学者エリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーによる『機械との競争』の翻訳版が刊行されると、日本でもその脅威が意識され始めました。
もう一つの問題は、コンピュータが全人類の知性を超える未来の時点を意味する「シンギュラリティ」(=技術的特異点)の問題です。
この概念は、アメリカの著名な発明家レイ・カーツワイルが、技術に関する未来予測の書『シンギュラリティは近い-人類が声明を超越するとき』を紹介したことで、世界的に知られるようになりました。
日本でも2015年以降、カーツワイルやシンギュラリティの概念は、経済雑誌や新聞でも採り上げられるようになってきました。
カーツワイルは、シンギュラリティは2045年に到来すると予測しています。
そうした問題を抱える中で本書では、人工知能(AI)はどのように進化し、イノベーションや経済成長、さらには雇用にどのような影響を与えるか、ということを経済学の観点から考察しています。
本書の結論は、2030年頃の汎用人工知能により、第四次産業革命がおこり、汎用AIを導入した国と、そうでない国との間に、大きな差が開いていく「第二の大分裂」が起きる、ということです。
さらにすべての労働者が深刻な「技術的失業」の危機にさらされ、賃金労働が存在しない経済となることによって、「ベーシックインカム」の導入が不可避になる、と予測しています。
ベーシックインカム(BI)を導入すれば、基礎年金お政府負担や児童手当、生活保護などは廃止され、社会保障制度全体が抜本的な改革を迫られることになります。
社会制度全般を大きく変革するまでのインパクトを、汎用人工知能の出現は持っていて、それが「純粋機械化経済」の行く末でしょう。
あなたも本書を読んで、人工知能(AI)の持つ可能性やインパクトを、経済学の視点で考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を