書評ブログ

『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門』

「実は、食べる、運動する、休む、といった身体活動が、体のなかでどのような変化につながるのかということは、時間によって差があることがわかってきたのです。」「時計遺伝子の働きが複雑に絡み合い、体のなかで時間によって違う作用が起こるという、そのしくみが少しずつ解明されてきているのです。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1953年生まれ、九州大学大学院薬学研究科博士課程修了、薬学博士で、時間栄養学の第一人者、広島大学大学院医系化学研究科特任教授、早稲田大学名誉教授で、日本時間栄養学会顧問がの柴田重信さん書いた、こちらの書籍です。

 

柴田重信『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(講談社ブルーバックス2173)

 

この本は、皆さんが朝食や夕食、間食や夜食を摂るという食行動と、それによって体で起こる時間帯別の反応(生体の朝・昼・夜など時間軸で起こっている種々の生化学的・分子生物学的変化)との関係を科学で説明する「時間栄養学」の入門書です。

 

本書は以下の10部構成から成っています。

 

1.体内時計とはなにか

2.時間栄養学――「いつ」「何を」「どう」食べるかで体が変わる

3.食物繊維を摂るタイミングで、血糖値や腸内細菌はどう変わるか

4.体内時計と代謝――間食は摂ったほうが体にいい?

5.時間調理学――時間によって調理を変えると体も変わる

 

6.ライフステージ別の体内時計――胎児から高齢者まで

7.時間薬理学――なぜのむ時間が決まっているのか

8.時間運動学――朝の運動と夕の運動で脂肪の燃え方が違う!?

9.体内時計の不調による、さまざまな「時差ボケ」

10.付録 AIと時間栄養学

 

この本の冒頭で著者は、「時間栄養学の研究が進むと、AI(人工知能)なども活用しながら、さまざまな社会的応用が可能になる」「急速に発展している種々のセンサー技術や画像可視化の技術を使って、個人個人の体内時計の状態を把握したうえで、食事パターンや間食の摂り方、適切な運動時間を設定し、健康維持に結びつけることが可能になってきている」と述べています。

 

本書の前半では、「体内時計とはなにかおよび「時間栄養学――「いつ」「何を」「どう」食べるかで体が変わる」について以下のポイントを説明しています。

◆ 人間の体内時計は、主時計(視交叉上核)、「脳時計」、末梢時計(臓器)の3つ

◆ 体内時計の3要素:➀周期、②位相、③振幅

◆ 時計遺伝子は、複雑に絡み合いながら体内時計を支える役割

◆ 体内時計をリセットする「光の刺激」と「食事の刺激」

◆ 食物繊維たっぷりの朝食は体内時計を整える(末梢時計をリセット)

 

◆ 朝はご飯と魚で体内時計をリセット

◆ タンパク質豊富な朝食を摂ると、夜よく眠れる(トリプトファン→セロトニン→メラトニン)

◆ 体内時計が食・栄養の働きをコントロール

◆ 夕食時の緑茶はカテキンで血糖値の降下作用

◆ 納豆は朝食でも夕食でも様々な効果

 

この本の中盤では、「食物繊維を摂るタイミングで、血糖値や腸内細菌はどう変わるか」「体内時計と代謝――間食は摂ったほうが体にいい?」「時間調理学――時間によって調理を変えると体も変わる」および「ライフステージ別の体内時計――胎児から高齢者まで」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 朝の食物繊維が腸内細菌に良い

◆ 遅い夕食の場合は、夕方に間食をして血糖値の上昇を抑える

◆ 揚げ物など中性脂肪を摂るなら夕食より昼食で

◆ 朝食開始から夕食終了までを10~12時間に(絶食時間を12~14時間に)

◆ 血糖値を急上昇させ、脂肪を増やす「夜遅い時間のドカ食い」は絶対に避ける

 

◆ 朝食は時間がないので「ツナ缶」「鯖缶」など加工食品をうまく活用する

◆ カルシウム不足なら夕食時に乳製品、小魚、海藻類を

◆ 高齢者は、主時計の光同調が低下してメラトニン分泌リズムが低下する

◆ 朝食をしっかり摂って、夜遅い夕食にしないことがフレイル(筋肉量の低下)を防ぐ

◆ 乳酸菌は睡眠の質を向上させ、すっきりした目覚め感を

 

本書の後半では、「時間薬理学――なぜのむ時間が決まっているのか」「時間運動学――朝の運動と夕の運動で脂肪の燃え方が違う!?」「体内時計の不調による、さまざまな時差ボケ」および「付録 AIと時間栄養学」ついて説明しています。主なポイントは以下の通り。

◆ 薬を飲む時間を決めている時間薬理学

◆ 運動のタイミングで体内時計が変わる

◆ 夕方の運動は筋肉を肥大させ、朝の運動は筋肉の減少を予防する

◆ 糖尿病の予防には夕方の運動がよい

◆ 朝の運動はセロトニンを活性化させ、メンタル機能にプラス

 

◆ 週末と平日の違いからくる「社会的時差ボケ」

◆ 朝食抜きの「朝食時差ボケ」

◆ 仕事に夜「シフトワーク時差ボケ」

◆ AIによる個人別の食習慣データ分析による健康増進管理

 

あなたも本書を読んで、「時間栄養学」を学び、「食べる時刻を変える、運動する時刻を変えるという健康法」を実践してみませんか。

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

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では、今日もハッピーな1日を!【3418日目】