書評ブログ

『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない』

「デフレしか念頭にない世界に、インフレが返ってきた」「50年ぶりにインフレがやってくる」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、イギリスの経済学者、作家、HSBC上級経済顧問で、「ロンドン・イブニンング・スタンダード」紙で定期的にコラムを執筆しているほか、世界中の新聞や雑誌に寄稿し、テレビやラジオの出演歴多数スティーヴン・D・キングさんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

スティーヴン・D・キング『僕たちはまだ、インフレのことを何も知らない デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史』(ダイヤモンド社)

 

この本は、デフレしか経験していない人のための物価上昇2000年史の書であり、中央銀行かや政策立案者たちが採用すべき4つのインフレの「検証基準」を提言し、緊急性の高い「教訓14カ条」を紹介して、将来的にインフレリスクをもう少しだけうまく管理するにはどうすればよいのかを説明しています。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.インフレが冬眠から目覚める

2.インフレは、「予期せぬとき」にやってくる

3.政府は常にインフレの誘惑に負ける

4.インフレは「勝ち組」と「負け組」を生む

5.何がインフレ対策の成功と失敗を分けるのか

6.結局、今はインフレなのか

7.インフレ14カ条と次のステップ

 

この本の冒頭で著者は、「インフレの深刻化を否定できない4つの懸念点」を次のように示しています。

 

◆「よいデフレ」による利得が一転する

◆ ロックダウンの揺り戻しで需要が爆発的に伸びる

◆ 金融政策が過剰に緩和されている

◆ 中央銀行による楽観的な思い込み

 

 

本書の前半では、インフレが冬眠から目覚めるおよび「インフレは、予期せぬときにやってくる」ついて、以下のポイントを説明しています。

 

◆ インフレとはお金の価値が失われていくこと

◆ ロックダウンで価格情報が消えた

◆ インフレ率がここ40~50年で最高になっている

◆ 不確実性を甘く見た中央銀行家

 

◆ インフレの原因は、大半の物価の上昇と貨幣価値の下落

◆「貨幣数量説」の主体性の公式:MV=PT

◆「貨幣量」と「物価」の関係は、マネタリストが思うより複雑

◆ 私たちの行動により、お金と物価の関係が変わる

 

 

この本の中盤では、「政府は常にインフレの誘惑に負ける」「インフレは勝ち組と負け組を生む」および何がインフレ対策の成功と失敗を分けるのかについて解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 政府の派手なインフレ政策は、金利上昇と為替レート悪化を招く

◆ ブラジルのハイパーインフレの教訓:①インフレは格差社会を生み出す、②近隣諸国は簡単に手のひらを返す、③インフレは政治的な選択

◆ 政府借入の急増で、誰かの資産が奪われる

◆ 歴史的に見て、政府はインフレの誘惑に負ける

 

◆ インフレは「勝ち組」と「負け組」を生む

◆ インフレを公平に解決するのは不可能

◆ インフレ期は実物資産に投資するのが最善策

◆ インフレは弱者を虐げ、格差を拡大させる

 

◆ 比較的無傷でインフレを退治できるサージェントの方法:①過度のインフレは持続的な巨額の財政赤字と結びつく、②抜本的金融財政政策でインフレ終息、③国内と外国為替の両面で物価が安定化

◆ 賃金物価統制は昔から無理

◆ ロックダウン後の物価統制は誤り

◆ 私たちの予想じゃ「経験則」に左右される

 

 

本書の後半では、「結局、今はインフレなのかおよび「インフレ14カ条と次のステップ」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆「インフレ目標」には根本的な問題がある

◆ インフレが深刻かどうかをどうか判断する4つの「検証基準」

◆ ①インフレ圧力を高める制度変更は?、②過剰な通貨拡大の兆候は?、③「タイムマシン」や「外的ショック」などの議論で矮小化されていないか、④供給サイドの状況が悪化していないか

◆ インフレ制度変更に関する3つの議論:①インフレ目標がインフレ圧力を強めた可能性は?、②量的緩和政策がインフレ早期警戒サインを見えなくした、③中央銀行家が財政政策を静観するように

 

◆ 歴史にと都筑ンフレ14カ条:①貨幣は重要、②人々の態度は中央銀行の政策と同じくらい重要、③インフレが永久に抑制されたと信じる人は歴史を無視している、④政府があえてインフレという手段に訴えることもある、⑤デフレリスクに対処するためインフレリスクを高めてしまう

◆ ⑥民主的に選出された政府は、インフレの誘惑に逆らえない

◆ インフレはこのうえなく府古兵で非民主的なプロセスになる

◆ 価格ショックから人々の所得や富を守るが、インフレの解決にはならない

◆ ハイパーインフレの方が抑制しやすい

 

◆ 政策立案者たちが取りそうな対応を把握しておく

◆ 金融政策が財政政策を支配すべき

◆「経験則」は予測よりも重要

◆ 政策立案者にとって、インフレの通り雨と長雨の区別は難しい

◆ 中央銀行は4つの検証基準でインフレの危険を判断する

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「インフレ下で資産を守るための6つの格言」を紹介しています。

 

1.1つの国または通貨圏に投資しない

2.株はインフレに強いと思い込まない

3.インフレが無制限に続くリスクに備えて「金」を保有

4.現金と預金の利益率はマイナス

5.実質利回りがマイナスの場合、不動産投資を考える

6.ユーロの未来に対して長期的な賭けを

 

 

あなたも本書を読んで、「インフレの謎」をすべて解き、インフレリスクをうまく管理していきませんか。

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

https://www.youtube.com/@user-kd3em9nm4q/featured

 

では、今日もハッピーな1日を!【3350日目】