「国をまたいでビジネスを行うマネジャーたちの大部分は、文化が彼らの仕事へどのような影響を与えているかほとんど理解していない」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクール、INSEAD客員教授のエリン・メイヤーさんが書いた、こちらの書籍です。
エリン・メイヤー『異文化理解力― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』(英治出版)
この本は、コミュニケーションの微妙な差異や、「良いビジネス」だとか、「一般常識」に対する各国の認識の違いは相互理解に甚大な影響を与えており、ひいては私たちの仕事のやり方にも影響を与えていることを示し、解説している書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.空気に耳を澄ます 異文化間のコミュニケーション
2.様々な礼節のかたち 勤務評価とネガティブ・フィードバック
3.「なぜ」VS「どうやって」 多文化世界における説得の技術
4.敬意はどれくらい必要? リーダーシップ、階層、パワー
5.大文字の決断か小文字の決断か 誰が、どうやって決断する?
6.頭か心か 二種類の信頼とその構築法
7.ナイフではなく針を 生産的に見解の相違を伝える
8.遅いってどれくらい? スケジューリングと各文化の時間に対する認識
この本では、「異文化理解力」とは、相手の発言や行動の真意を理解することと定義しています。そして、自分の言動を相手がどう捉えているかを理解することだ、としています。
つまり、育った環境や価値観が異なる人と働くときに、行き違いや対立を避け、確かな信頼を築く技術が「異文化理解力」です。
著者が教授として勤めるインターナショナル・ビジネススクールのINSEAD(インシアード)は、全員が文化的マイノリティになるという稀有な場所で、そこでの経験から、マネジャーが自覚しておくべき分野を、以下の8つの指標に整理しました。
1.コミュニケーション: ローコンテクスト VS ハイコンテクスト
2.評価: 直接的なネガティブ・フィードバック VS 間接的なネガティブ・フィードバック
3.説得: 原理優先 VS 応用優先
4.応用: 平等主義 VS 階層主義
5.決断: 合意志向 VS トップダウン式
6.信頼: タスクベース VS 関係ベース
7.見解の相違: 対立型 VS 対立回避型
8.スケジューリング: 直線的な時間 VS 柔軟な時間
これら8つの指標を使って、各国のビジネス文化の見取り図を作ることが出来ます。この「カルチャー・マップ」を比較することによって、文化がどのような影響を与えるかを理解することができる、と著者は言います。
文化や個性の違いは、組織や業界や職業や集団の違いを伴うことが多い、とこの本では記しています。
つまり、振る舞いや信条の文化的なパターンは、多くの場合私たちの知覚(何を見て)、認識(何を考え)、そして行動(何をするか)に影響を与えているのです。
このように、あなたのチームをカルチャー・マップを使って眺めると、断絶から生じる困難だけでなく、違いによって生まれる強みも意識することができる、と著者は説明しています。
私たちはみんな同じで、みんな違う、というのが著者の結論です。
あなたも本書を読んで、ビジネスコミュニケーションの画期的なフレームワークである「異文化理解力」について、学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を