「日本の未来はこれまでの成長を前提としたモデルからの全面的な転換を余儀なくされている。」「そしてこれを支える日本の不動産の未来も新たなロードマップを描くときに来ている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学経済学部卒、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、BCGを経て三井不動産に勤務、J-REAT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立、現在はオラガ総研株式会社代表取締役として、ホテルなどの不動産プロデュース業を展開、全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立し代表取締役を兼務している牧野知弘さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
牧野知弘『不動産の未来 マイホーム大転換時代に備えよ』(朝日新書)
この本は、日本社会の変わらざるを得ない未来と、社会を支えるインフラである不動産の未来をクロスさせながら、これからの日本のあるべき姿を考えていく書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.日本沈没に見る不動産の未来
2.不動産大転換
3.民族大移動ー変わりゆく都市と街
4.相続大異変
5.多元化する不動産ー地政学、安全保障、エネルギー、DXの影響
6.災害に備えよ
7.不動産投資の虚妄
8.不動産の未来
9.時代は動く、未来は変わる
この本の冒頭で著者は、「不動産は社会全体を支えるインフラである。社会が変わるということは不動産自体が変わることを意味する。それは人々が不動産に求める価値の変革だ。」と述べています。
本書の前半では、「不動産大転換」および「民族大移動ー変わりゆく都市と街」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 日本は首都圏の1都3県で人口3693万人で日本全体の3割
◆ 人々の働きはオフィス中心から自宅や自宅周辺のサテライトオフィスやコワーキング施設へ
◆ 昭和・平成の思考回路だと、住宅ローン破綻が社会問題に
◆ 不動産DXが世の中を変える
◆ 通勤が減り、「住む」場所選択の自由、勤労者の意識変革
◆ 平日、休日を分けるに拠点生活
◆ 多拠点生活が実現の可能性も
◆ 衛星都市は街の魅力で二極化へ
◆ 地方都市は、①絶対のキラーコンテンツ、②地元とよそ者の対等性、③生活シーンが街の中で循環、の3条件が重要
◆ 階級社会が訪れ、高齢者富裕層と高等遊民の時代に
◆ TOKYOは、芸術とエンタメの街に
この本の中盤では、「相続大異変」「多元化する不動産ー地政学、安全保障、エネルギー、DXの影響」および「災害に備えよ」について次のポイントを解説しています。
◆ ますます加速する「空き家問題」
◆ 都市部ですすむマンション空き家住戸
◆ 老朽化する中小ビルオーナーの苦悩
◆ 首都圏多死、大量相続問題
◆ タワマン節税破綻
◆ 日本の中心軸は九州、沖縄へ
◆ 国防と土地利用規制法の影響
◆ 作り過ぎた空港の「結果オーライ」
◆ 海を「強み」にする
◆ 絶対やってくる大地震
◆ スーパー堤防整備の必要性
◆ ブランド住宅地は高台
◆ 都市計画区域の全面見直しが災害を防ぐ
本書の後半では、「不動産投資の虚妄」「不動産の未来」および「時代は動く、未来は変わる」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 出口の見えないワンルームマンション投資の危険度
◆ 相続難民が続出する
◆ マンションを買った人の末路
◆ 区分所有オフィス投資の破綻
◆ 人の働き方が変容し、オフィス、住宅も変化
◆ 観光は日本のキラーコンテンツ
◆ ビジネス需要だけでは成り立たないホテルの未来
◆ 商業施設はエンタメ施設に、物流は自動化が進展
この本の締めくくりとして著者は、「不動産に興味関心を持つ若い人たちのベンチャービジネスが増えている」と述べています。そして、「確実に不動産の世界にも地殻変動が起こりつつある」と結論づけています。
あなたも本書を読んで、「不動産の未来」を考え、マイホーム大転換時代を生き抜いていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2715日目】