「実際に統計データを確認していくと、近年の日本の経済にはさまざまな変化の兆しがみられる。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1985年生まれ、一橋大学国際・公共政策大学院公共経済専攻修了、厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官公庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当、その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現在はリクルートワークス研究所研究員・アナリストの坂本貴志さんが書いた、こちらの書籍です。
坂本貴志『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』(講談社現代新書)
この本は、これから迎えることになる人口減少時代において、日本経済の構造がどのように変化していくかを予想するために書かれた本です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.人口減少経済「10の変化」
2.機械化と自動化ー少ない人手で効率よく生産するために
3.人口減少経済「8つの未来予測」
この本の冒頭で著者は、「人手不足の先端を走る地方中小企業の実情」について、山形県酒田市の事例を紹介しています。
本書の前半では、「人口減少経済 10の変化」について以下のポイントを説明しています。
◆ 変化1 人口減少局面に入った日本経済
◆ 変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷
◆ 変化3 需要不足から供給制約へ
◆ 変化4 正規化が進む若年労働市場
◆ 変化5 賃金は上がり始めている
◆ 変化6 急速に減少する労働時間
◆ 変化7 労働参加率は主要国で最高水準に
◆ 変化8 膨張する医療・介護産業
◆ 変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ
◆ 変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション
この本の中盤では、「機械化と自動化ー少ない人手で効率よく生産するために」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 建設 現場作業の半分はロボットと
◆ 運輸 自動運転は幹線輸送から
◆ 販売 レジ業務は消失、商品陳列ロボットが普及
◆ 接客・調理 デジタル化に伴いセルフサービスが広がる
◆ 医療 非臨床業務の代替と専門業務への特化
◆ 介護 記録作業から解放し、直接介助に注力する体制を
本書の後半では、「人口減少経済 8つの未来予測」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 予想1 人手不足はますます深刻に
◆ 予想2 賃金はさらに少々へ
◆ 予想3 労働参加は限界まで拡大する
◆ 予想4 人件費の高騰が企業利益を圧迫する
◆ 予想5 資本による代替が進展
◆ 予想6 生産性が低い企業が市場から退出を迫られ、合従連衡が活発化する
◆ 予想7 緩やかなインフレーションの定着
◆ 義生8 優先順位の低いサービスの消失
この本の締めくくりとして著者は、「今後は賃金上昇を媒介として労働者の労働参加はさらに拡大し、その一方で企業は省人化に徹底的に取り組むことを強いられる。市場メカニズムが人手不足を解消するために必要な調整を促す展開になるのである。」と述べています。
あなたも本書を読んで、データが示す、日本の経済社会で「これから起こること」を学び、対策を練っていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3546日目】