書評ブログ

『仏教の未来年表』

「誰もが死から逃れられず、仏教徒無縁ではいられない。未知の多死社会を迎え、私たちの死に対する認識も変化を余儀なくされている。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1974年、京都・嵯峨の正覚寺に生まれ、成城大学文芸学部卒業、新聞記者・雑誌記者を経て独立し、2021年に正覚寺住職に就任して「宗教と社会」をテーマに執筆、取材をしている浄土宗僧侶、ジャーナリスト鵜飼秀徳さんが書いた、こちらの書籍です。

 

鵜飼秀徳『仏教の未来年表』(PHP新書)

 

この本は、「日本の仏教や弔いなどの慣習は今後、どのように変化し、あるいは消えていくのか」など、現状を把握するとともに未来を見据えた仏教のあり方を論じている書です。

 

本書は以下の7部構成から成っています。

1.「死なき時代の宗教」はどこに行くか

2.社会が変われば仏教も変わる

3.寺院の現状と課題

4.テクノロジーが仏教を変える

5.弔いの未来

6.未来の寺院をどうつくるか

7.宗教を学べば社会の本質が見えてくる

 

この本の冒頭で著者は、仏教にまつわる「象徴的な5つの変化」を次の通り挙げて説明しています。

◆ 変化1 檀家制度の危機

◆ 変化2 LGBTQと戒名不要論

◆ 変化3 寺院のデジタル化

◆ 変化4「不老不死」の実現

◆ 変化5 都市型寺院の誕生

 

本書の前半では、「死なき時代の宗教はどこに行くかおよび「社会が変われば仏教も変わる」について以下のポイントを説明しています。

◆ 世界の仏教人口は著しく減少

◆ 無宗教者が選挙の行方を左右する

◆ 都内から「鎮守の森」が消える

◆ 寺がLGBTQにとっての安全地帯になる

◆ 人間とペットが一緒に弔われる

 

◆ 生あるものへの弔いが多様化する

◆ 多死社会で「骨葬」が増える

◆「一族の墓」から「みんなの墓」に

◆ ムスリム用土葬墓地が各県にできる

 

この本の中盤では、「寺院の現状と課題および「テクノロジーが仏教を変える」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 日本の寺が4万2000か寺に激減する

◆ 巣立寺院が1割を超え、買収される事例が増える

◆ 東西本願寺が合併するか

◆ 自動搬送式納骨堂の倒産ドミノが起きる

◆ 寺院合体型ホテルの建設が相次ぐ

 

◆ 国宝・重要文化財のデジタルアーカイブが完了する

◆ アンドロイド仏が、各地で説法を開始する

◆ 高齢者施設で「オンライン参拝」が当たり前に

◆ 僧侶が「生成AI」に取って代わられる

 

本書の後半では、「弔いの未来」「未来の寺院をどうつくるか」および「宗教を学べば社会の本質が見えてくる」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 火葬場でお骨を完全消滅させるサービスが開始

◆ 霊柩車が完全に姿を消す

◆「直葬」の割合が過半数に達する

◆ 墓じまいブームが終わる

 

◆ 樹木葬が墓の主流になる

◆「お布施」が有名無実に

◆「戒名」がなくなる

◆ 仏教版SDGsが発足

 

◆ 地方創生の切り札「寺院再生モデル」が各地で発足

◆ 寺院葬が葬祭ホール葬を上回る

◆ 大規模災害多発で、伝承碑建立が国家事業に

◆ 宗教教育が公教育に組み込まれる

◆ Z世代の終活で「新たな葬送」の模索が始まる

 

この本の締めくくりとして著者は、「宗教を学べば、社会の本質が見えてくる」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、「仏教の大変革」について学び、「これから日本で何が起きるか、私たちはどうすればいいのか」、考えをめぐらすきっかけにしてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3547日目】