「野球に必要な厳しさとは何か?広陵が強いのはなぜなのか?どうして選手は卒業後に成長するのか?」などを関係者へのインタビュー取材などで明らかにしている本があります。
本日紹介するのは、立教大学4年時に23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験し、大学卒業後は、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、現在はフリーランスで執筆活動などをする元永知宏さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
元永知宏『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)
この本は、選手、監督、プロ野球で活躍するOBたちに取材し、「広陵OBはなぜプロ野球で成功するのか?」という疑問をぶつけ、そこで見えてきたものを記している書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.中村奨成 甲子園で覚醒した理由
2.中井哲之 広陵野球部のルール
3.中井哲之 日本一よりも大切なもの
4.卒業生の親が見た広陵野球部
5.稲田直人 広陵野球部 20年前の風景
6.上原健太・有田航平 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?
7.野村祐輔・小林誠司・櫟浦大亮 甲子園準優勝を勝ち取った「史上最弱」メンバー
8.野村祐輔・小林誠司・櫟浦大亮 あの逆転負けからの10年
9.中井哲之 全員の思いを力に
10.今本淳太 背番号18 控えのキャプテン
この本の冒頭で著者は、2017年夏の甲子園で準優勝した広陵高校のキャッチャー・中村奨成選手の活躍と、中井哲之監督の存在について書いています。
広陵高校野球部で、部員たちはどんな生活を送り、3年間で何を手にしたのかを、19歳の中村奨成から56歳の中井哲之監督まで、答えはさまざまだったふが、野球界で、あるいはそれ以外の世界でたくましく生きるヒントがそこにはあった、と著者は述べています。
キーワードは「補欠の力」(=ベンチ入りできない控え選手)の存在、ということです。
また、著者の元永さんが10年前に編集を担当した、PL学園野球部に関する、こちらの本が紹介されています。併せて読むとより理解が深まります。
今回のこの本では、以下の広陵OBおよび関係者に取材し、そこから得られた分析をまとめています。
◆ 中村奨成(広島)
◆ 中村哲之(監督)
◆ 卒業生の親たち
◆ 稲田直人(日本ハム・横浜・楽天)
◆ 上原健太(日本ハム)
◆ 有原航平(日本ハム)
◆ 野村祐輔(広島)
◆ 小林誠司(巨人)
◆ 櫟浦大亮(関西学院→星企画)
◆ 岩本淳太(キャプテン)
著者の取材やそこから受け取った詳細な事実描写や分析は、胸に迫る迫力があります。とくに、夢を叶えられずに別の道へ進むことになった選手たちへの温かい眼差しは心に響きます。
興味ある方はぜひ、この本を手に取ってお読みください。
とくに印象に残ったのは、中井監督の次の言葉です。
「人生に意味のない経験はない」
また、本書でもっとも伝えたかったのは、何度も甲子園に出た経験のある監督の次の言葉が意味することでしょう。
「甲子園に出るチームにしようと思ったら、大きな塊をつくらなければいけない」
高校の中にいる選手や監督だけが頑張ってもダメで、地域の力、保護者のサポート、OBの協力など、野球部を支える大きな運動体がなければ強いチームはつくれない、と著者は言います。
さらに、監督の補佐として選手を支えるコーチ陣、そして何よりも、ベンチに入れない「補欠の力」です。
仲間の思いを胸にグラウンドに立つ選手と、ベンチの外にいる人間が常に厳しい視線を送ること。両者の関係が深ければ深いほど、お互いの意見をぶつければぶつけるほど、チームは必ず強くなる、というのが著者の結論です。
いま、2018年夏の甲子園大会が開催されています。この本を読み、高校野球をより深い視点で観戦してみませんか。ぜひ、お薦めの一冊です。
広島県代表の広陵高校は、大会8日目の8月12日(日)8:00から、東東京代表の二松學舍附属高校と2回戦で対戦します。
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では、今日もハッピーな1日を