「人はなぜ老い、死ぬのか。」すべての動物に決められた遺伝子プログラムを通して人生を見直し、潔い死生観を導いている本があります。
本日紹介するのは、東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長などを歴任する理学博士で動物行動学者の日高敏隆さんが書いた、こちらの書籍です。
日高敏隆『人はどうして老いるのか 遺伝子のたくらみ』(朝日文庫)
この本は、「プログラムとしての老い」という視点から書かれ、『正論』に連載したものを再編集して、改題した書です。
本書は以下の14部構成から成っています。
1.人はどうして老いるのか
2.「自己ペット化」した人間
3.何のために生きるのか
4.遺伝子のプログラムとは?
5.「育つ」「育てる」プログラム
6.「選択」と「学習」
7.性は何のためにあるのか
8.男と女
9.「老い」へのたくらみ
10.人生は人さまざま-『年齢の本』(その1)
11.五十代からの「老い」-『年齢の本』(その2)
12.人生とはシナリオを演ずること
13.死はそれほど大げさなことではない
14.「ミーム」
本書は、著者の日高さんの専門領域である「動物行動学」の立場から、「老いがプログラムされている」という視点で、「人はなぜ老いるのか」を解明するべく記されています。
本書の冒頭で著者は、「人はなぜ老いるのか」という問いに対して、以下の2つの「なぜ?」があると整理しています。
◆ どういうしくみでそうなっているか(ドイツ語のwarumヴァルム)
◆ 何のためにそうなっているのか(ドイツ語のwozuヴォツー)
前者は、医学的なもので、「老化のしくみ」ないし、「老化の原因」で、身体が痛み、ガタがくるということです。
一方で、後者は、「答えようがない」と著者は言います。しかし、「老い」ではなく、本来の意味でのエージング、つまり「加齢」について言えば、「何のために」という問いは成り立ちうる、ということです。
本書では、動物行動学の専門家という視点から、「遺伝子のプログラム」または「遺伝的なプログラム」のよる人間の行動を分析しています。
テーマは多岐に及び、「育つ」、「育てる」、「選択」と「学習」、「性」や「男女」、そして「老い」について、「遺伝子のたくらみ」として解説しているところが、他書にない特徴で、興味深いです。
もともと、変化に適応することで「種の保存」ができるという、ダーウィンの進化論が有名ですが、実は「種族維持」ではなくて、「自分の遺伝子」(=自分の遺伝子を持った子孫)をどれだけ後世に残せるか、ということで人間は行動する、著者は述べています。
これを、ダーウィンの言う「適者生存」に対して、個体の「適応度」(=フィットネス)と呼んでいます。
また、本書では、動物行動学や遺伝子に関する様々な参考文献を引用していて、これも参考になりますので、以下に挙げておきます。
これらの本も含めて、あなたもぜひ本書を読んで、「老い」について、「遺伝子のプログラム」という視点で、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を