「いまの多くの医者が推奨している、予防医学的、節制的健康法は老化を逆に進めてしまう」「臓器別診療では、人間全体としての老化予防や健康法が何であるかが、よくわからないのだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『新版「がまん」するから老化する』(PHP文庫)
この本は、10年以上前に書かれた新書に加筆して文庫化したもので、「がまんやダイエットは老化をかえって進めてしまう」ことを提唱し、現時点での老化予防、アンチエイジングにまつわる著者の考え方や具体策を提示している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.老化とは何か
2・メタボのウソ
3.クロード・ショーシャ博士のアンチエイジングメソッド
4.心の若返りの意味
5.がまんは老化の元
6.日本人はなぜ若返ったのか?
この本の冒頭で著者は、フランスのアンチエイジングの権威であり、世界抗加齢学会副会長を歴任したクロード・ショーシャ博士による理論を紹介しています。
その理論とは、「必要な栄養を摂らないことでかえって老化は進む」というもので、体を酸化させない食生活と、栄養学や分子生物学に基づく理論で、「食べても太らないころに体を若返らせるほうが、はるかに老化予防に役立つし健康にもいい」とするものです。
本書の前半では、「老化とは何か」および「メタボのウソ」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 老化の5大学説は、①消耗説、②内分泌説、③遺伝子支配説、④フリーラジカル説、⑤テロメラーゼ説
◆ 様々な学説が繋がっているのが真実で、抗酸化物質を与え、フリーラジカルを抑える
◆ 歳を取るほど、脳も筋肉も使わないことによる衰えがひどくなる
◆ 人間の体の機能は使い続けることで高いレベルを維持できる
◆ 80代から老化によりアルツハイマー型認知症は急増する
◆ 動脈硬化もがんも老化病
◆ 怖いのは心の老化、感情の老化で要因は、①前頭葉の萎縮、②脳の動脈硬化、③セロトニン分泌の減少
◆ 歳を取るほどうつ病になりやすく、自殺率が高い
◆ 心を若返らせると、免疫力が若返る
◆ 身だしなみや外見を若くきれいに保つと若返り効果がある
◆ 世界中でBMIが25を少し超えた人が最も長生き
◆ 日本人はもっと肉を食べたほうがいい
◆ 悪玉コレステロール(LDL)値は高めの方ががんやうつになりにくい
◆ 高い血糖値を無理に下げる必要はない
◆ セロトニンの材料トリプトファンは肉類に多く含まれる
◆ 幸福な体験は免疫機能を上げ、感情の老化を予防する
この本の中盤では、「クロード・ショーシャ博士のアンチエイジングメソッド」および「心の若返りの意味」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆「細胞の炎症」こそが老化の原因
◆ 体の免疫細胞の80%が小腸に存在
◆ オリーブオイルは酸化予防の観点から日常的に使うとよい
◆ 朝食は脂肪とタンパク質、昼食はタンパク質メイン、間食は果物、甘未、夕食は水分
◆ 刺身など魚を食べる日本食は理想
◆ 栄養学を知らない日本の医師
◆ 前頭葉が委縮して老化すると、意欲が低下して老け込んだ人間に
◆ 脳を「使うこと」がもっともシンプルな老化予防法
◆ 外見を若く保ち、人づきあいで心が若返る
◆ お金を使うことと遊ぶことが大切
本書の後半では、「がまんは老化の元」および「日本人はなぜ若返ったのか?」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 美味しいもののほうが、体も心も老化させない
◆ 快体験は免疫力を上げる
◆ 骨だけは老け込んでいる日本人
◆ 働く人としてだけでなく、消費者として「生涯現役」
◆ 老化予防の手本は、医者より若々しい人
この本の締めくくりとして著者は、「がまんのストレスは確実にNK細胞の活性を下げる。」「がまんするから老化するだけでなく、がまんするからガンのリスクを高めて死期を早める」と述べています。
あなたも本書を読んで、老化のメカニズムを学び、健康常識や長寿常識を鵜吞みにせず、自分によさそうなものを実践するというアンチエイジングの本質に迫ってみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2986日目】