優れたコンサルタントが人と話をする際の、思考の流れと質問のテクニックを説いた本があります。
本日紹介するのは、コンサルティング会社のHRインスティテュートを設立し、代表を経て、現在はフェロー・エグゼクティブコンサルタントの野口吉昭さんが書いた、こちらのベストセラー書籍です。
野口吉昭『コンサルタントの「質問力」』(PHPビジネス新書)
この本は、多くの基本的なコンサルティング・マインド&スキルの中で、「質問力」を採り上げています。それは、「質問力」が、コンサルタントの妙に尽きるものであり、多くの様々なプロフェッショナルにも共通するものでもあるからです。
さらに、「質問力」こそが、コンサルタントの質を評価するスキルでもあるからだ、と著者は述べています。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.その道のプロは、「質問力」が命
2.「仮説力」がなければ話は始まらない
3.「本質力」こそ、こだわりの質問を生むエッセンス
4.「シナリオ力」で、質問の目的を達成する
本書の冒頭で著者は、「一方的な質問では、プロとは言えない。あくまで “ 相手軸 ” 、しかも広く、高く、深く本質を探究するための質問力は、知識・見識・良識などの集大成とも言える。」と説明しています。
つまり、いい質問は、いい空気を作るし、いいコミュニケーションを作る、ということです。いわば、いい質問とは「動機づけ」の結節点であり、エネルギーの素なのです。
そして、この本では、「優れた質問力がある人」を、具体的には以下のように定義しています。
1.聞く態度を身につけている
2.鋭い質問で相手を感動させる
3.事実を使って全体像を示す
4.相手を積極的に自己開示させる力を持っている
5.物語を聴く力を持っている
6.空気を読むのがうまい
上記の条件について、本書では具体的な事例を含めて説明していますが、説得力があります。ここでは敢えて詳細を書きませんので、興味ある方はぜひ、本書を手に取ってお読みください。
とくに、ハウスメーカーのトップ営業マンの「聞く力」や、MR(医薬情報担当者)の質問に関する事例は、興味深く書かれていて参考になります。
また、著者のプロのコンサルタントとしての拘りや信条が随所に述べられていて、次のような記述は、とくに印象に残り、今後のビジネスに役立てたいと感じました。
◆ ニーズをシーズでウォンツに!
◆ 事実(ファクト)をうまく使いこなすと納得感が増す
◆ ナラティブ・ベイスト・メディスン(=臨床における物語と対話)
◆ 「幽体離脱」のテクニックで、第三者的に見る視点を持つ
◆ 「呼び水」の質問で、気づきを与える
また、本書の核心は、「ビジネスのプロとは、質問力のプロである」という著者の信念のもとで、「コンサルタントの質問力」を次の3つと結論付けて整理している点です。
1.仮説力
2.本質力
3.シナリオ力
この本の後半では、この「3つの力」について、それぞれ詳しく解説をしています。具体的にはぜひ、本書をよんでいただきたいのですが、要約すれば以下のようになります。
まず、「仮説力」とは、ポイントを突いた質問をするために、事前に情報収集・整理をした上で、ロジカルシンキングにより仮説を立てておく能力です。
そのうえで、「本質力」とは、場を「見える化」し、「論理的に整理」し、内容の「絞り込み」をし、最終的に「ワンメッセージ」に凝縮できる力をいいます。
さらに、「シナリオ力」とは、質問プロセスのシナリオをデザインできる能力です。つまり、大きな流れを読みながら、その質問プロセスのゴールに向けて、適切な質問を相手に投げかけることができる能力のことです。
本書では、これら「コンサルタント質問力」の根幹をなす「3つの能力」-①仮説力②本質力③シナリオ力-について、コンサルティングの実績を示しながら詳細に解説していて、ほかのビジネス全般においても、参考になります。
あなたも本書を読んで、「できる人」の隠れたマインド&スキルである、「コンサルタントの質問力」について、しっかり学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を