「人生を変える一生ものの勉強法」を提唱している本があります。伊藤忠商事にて丹羽宇一郎会長の懐刀と言われた三輪裕範さんが書いたこちらの本を今日は紹介します。
三輪裕範『50歳からの知的生活術』(ちくま新書)
この本は、主として50歳以降の方々に対して、「定年後の一つの生き方」として、精神的にも充実した、「ゆとりある知的生活」を提案しています。
そして、そのような生活の実現に向けて、50歳以降、どのような準備をしていけばいいのかということについて詳述しています。
まずは、一昨日の2015年6月25日付ブログに掲載した、ドキュメンタリー『定年前起業への道』の第38回「50歳からの知的生活習慣(その5)」において、本書を採り上げていますので、こちらの記事をご覧ください。
当該記事でも書きました通り、本書は以下の5部構成となっています。
1.知的生活が定年後を充実させる
2.テーマを見つける
3.50歳からの読書法
4.50歳からの新聞・雑誌・テレビとの付き合い方
5.50歳からの知的アウトプット
この中でも、「定年後の知的生活」を実現するための準備として、著者はとくに、①読書習慣を身につけること、②自分の関心・テーマ分野を見つけ出すこと、の2点を挙げています。
本日のブログ書評では、前の記事で十分に解説できなかった、「50歳からの読書法」と、本書で紹介されている数々の優れた「推薦書」を採り上げたいと思います。
まず、「50歳からの読書法」について、三輪さんは「知的活動と読書は密接不可分」と述べています。
そしてまずは、少しずつでもいいので、「本を買い続けてください」とお願いしています。「本を買って本の巣づくりをする」ということです。
これは、「知的生活」という概念を日本に定着させた功労者である作家・渡部昇一さんが、その著書『知的生活の方法』(講談社現代新書)の中で、次のように述べていることが、もとになっています。
「無理をして本を買い続けるということをしていない人が、知的に活発な生活をしている例はほとんど知らない。・・・(中略)・・・そんな本のために、豊かでもない財布から、なけなしの金を出すということは異常である。」
「その金でレストランに入ればおいしいビフテキが食えるし、ガールフレンドと映画に行って食事をし、コーヒーも飲めるのだ。」
「そういうことに金を使うのが日常的ということであり、そうしないで、すぐには読めそうもない高価な本を買って、すき腹をラーメンで抑えるというのが知的生活への出発点と言ってよい。」
渡部昇一さんはさらに、「読書と知的生活が密接不可分」であることを、以下の通り喩えて説明しています。
「本を買い続けることは、知的生活者の頭脳にとっては、カイコに桑の葉を与え続けることに匹敵する」
また、森本哲郎さんは、著書『読書の旅』(講談社文庫)の中で、自分の読書術というのは、「何よりもまず、本を自分の本棚に並べることである。」として、次のように述べています。
「枝をあちこちからくわえてきて小鳥が巣をつくるように、一冊、また一冊と本を買ってきて、それで自分のまわりを飾り、自分の精神の巣をつくるわけである。そうするとそこに自分の世界ができあがる。」
「一冊でも多く本を並べることは、自分の世界をそれだけ広くするようなものである。本が多くなると、とうぜん部屋は狭くなる。しかし、それに反比例してわが心の世界は広くなってゆくのである。」
これが、三輪さんのいう「本を買って本の巣づくりをする」ということです。
自分が買い集めた本棚の本が百冊や二百冊程度ではなく、数百冊、千冊、数千冊というレベルになってくれば、自分の知的関心の所在も、より細分化されたレベルで特定することができるようになる、と言います。
そうした中で、著者は「クオリティ・リーディング」、すなわち「質の読書」を薦めています。そして、「クオリティ・リーディング」の核心は「批判的読書」ということです。
著者の主張を鵜呑みにする「羊の読書」から、著者の主張に疑問を持ちながら内容を吟味していく「狼の読書」に移行していくことが大切です。
このような自分の頭で考える「狼の読書」については、『読書について』(岩波文庫)を書いたショウペンハウエルの議論が有名です。
「読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。」とショウペンハウエルは述べていますが、だから読書をやめろ、ということではありません。
ショウペンハウエル自身は、大の読書家で、「思索する読書」を薦めています。
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では、今日もハッピーな1日を!