ドキュメンタリー『定年前起業への道~57歳からの挑戦!』の第38回は、「50歳からの知的生活習慣」の「その5」最終回です。
≪ 知的生活が定年後を充実させる!≫
「人生を変える一生ものの勉強法」を説いている人がいます。私とほぼ同世代で、伊藤忠商事で丹羽宇一郎会長(中国大使も歴任)の懐刀と言われた三輪裕範さんです。
私の「定年後の人生設計」に対する考え方に最も近い書籍の一冊として、三輪さんのこの著書を紹介したいと思います。
三輪裕範『50歳からの知的生活術』(ちくま新書)
この本は、定年を前にした50歳以降の方々に対して、定年後の一つの生き方として、精神的にも充実した、ゆとりのある「知的生活」を提案しています。
そのような生活の実現に向けて、50歳以降、どのような準備をしていけばいいのかということを詳述しています。
本書は、以下の5部構成により成っています。
1.知的生活が定年後を充実させる
2.テーマを見つける
3.50歳からの読書法
4.50歳からの新聞・雑誌・テレビとの付き合い方
5.50歳からの知的アウトプット
本書の冒頭で著者は、「定年前に準備しておくこと」として、以下の2つを勧めています。
1.読書習慣を身につける
2.自分の関心テーマ・分野を見つけ出す
この2つさえできていれば、定年後を待つまでもなく、あなたはいつからでも「知的生活者」になることができる、と言っています。
この本の前身ともいえる書が、本書の9年前(2005年)に書かれた『四〇歳からの勉強法』(ちくま新書)です。
こちらの本は、学者や評論家によって書かれた世の中の「勉強法」に関する本が、ある意味で勉強することを本業としている人たちが書いたものなので、会社勤めの身には、どうも非現実的で観念的すぎる、と感じたために、自ら実践的であることに拘って書いたもの、ということです。
40代までの世代を対象にしたこの本は、スキルアップやキャリアアップにつなげるために、いかに時間を作りだし、いかに効率的に勉強したらいいのか、その具体的な方法にフォーカスしています。
≪ 定年後の知的生活は50代の準備が重要 ≫
一方で、『50歳からの知的生活術』は、会社をやめてからもまだ20年前後の余生がある中で、組織を離れた一私人として、どれだけ知的に充実した生活にするか、を説いたものです。
そのためには、定年までの間、仕事以外の部分をどのように生きてきたのかということが問われます。とりわけ、50歳以降定年までの期間をどのように過ごすのか、ということが決定的に重要になってくる、と著者は言います。
まずは、現役時代と定年後の生活の違いとして、次の三原則の「心構え」が大切だと、著者は言います。
1.時間的余裕の有無
2.強制性の有無
3.実利優先か精神的満足優先か
これらの違いを踏まえた上で、「定年後の知的生活」で目指すべき基本的な方向性として、以下の4点を挙げています。
1.出世、地位、権力、お金などの世俗的成功より知的で精神的な満足を重視
2.物事のより深い理解を目指す
3.「役に立つことを速く」から「役に立たないことをゆっくり」というやり方に舵を切る
4.拡散から収束へ
そして、自分の関心テーマを決めていくときには、とくに多くの選択肢から徐々にテーマを絞って収束していく、ということが重要です。
そして50代以降には、自分のホームグラウンドを持つことで、興味・関心あるテーマを決めて、「定年後の知的生活」を充実して送ることができるようになります。
本書の後半には、50歳からの読書法や新聞・雑誌・テレビとのつき合い方など、具体的な手法に関する紹介やアドバイスが続いています。
詳しい内容については、本書の書評を後日、掲載する予定ですので、そちらでご覧ください。
≪ 50歳からの知的アウトプット ≫
本書の最後には、「50歳からの知的アウトプット」のススメとして、商業出版を目指すよう、提案しています。
出版社の経営は、新刊発行点数の増加や読書人口の減少(インターネット普及による)によって、厳しい経営環境におかれていて、どこも有望な著者の発掘に力を入れています。
そうした中で、従来の作家、評論家、学者などだけでなく、一般人の中で「売れる」文章を書ける人材の発掘に力を入れているのです。
現代は、インターネットやSNSの普及で、「情報爆発」ともいえる時代で、一般人でも「ブログ」などで情報発信ができるようになりました。
出版社へよい「企画書」を持ち込むことができれば、商業出版への道も夢ではないのが、現代です。よい企画とは、以下の3点を満たすものです。
1.時代適合性
2.新規性
3.平易性
現代は「情報爆発」の時代なので、目立つこと(新規制)や伝えやすいこと(平易性)はとくに重要になっています。
定年後の知的生活には、この「知的アウトプット」は不可欠で、ぜひ「商業出版」を目指したいものです。私もいつか本を出版することを夢にしています。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと129日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。