書評ブログ

大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか』(光文社知恵の森文庫)

大前研一の本は、どれも歯切れがよい。あまりにはっきりと書き過ぎるので、人によって好き嫌いが分かれるのは事実である。ただ、私は情報が速いこと、世界のトレンドが見えていること、先が読めているという点で、高く評価している。

 

海外に行って英語で講演できる数少ない日本の経営者であり、講演料は断トツの日本ナンバーワンである。この本にも書いてあるが、1時間5万ドル、2時間単位の講演なので、10万ドル(1ドル=100円換算で1,000万円)と破格の講演料だ。しかもファーストクラスの往復航空券と三ツ星以上のホテル宿泊代は別途請求だそうだ。

 

年収でも1,000万プレーヤーは数少ないが、彼はたった2時間の講演(往復移動を含めれば数日間になるが)でそれを稼いでしまう。そのくらい価値を提供できる講演というわけだ。その講演内容と同等の価値ある情報を、本書からは得ることができる。

 

私が最も感銘を受けた点は、現代ビジネスマンの「3種の神器」は、英語・IT・ファイナンスだとはっきり述べている点。このブログも、それに共感して3つのスキルをひたすら磨いてきた私、「大杉 潤」 の体験がベースとなっている。

 

大前氏の切り口が的確であることを私は自分自身ではっきりと体験した。現在、私も企業人として、後進の育成・指導をする立場にあるが、英語・IT・ファイナンスの3拍子揃ったビジネスパーソンは間違いなく年収1,000万円を超えていく。

 

それだけ、3つのスキルが揃ったビジネスパーソンはいないということだ。本書の中では、日本人の、とくに若者の「知の衰退」が著しいことを筆者は嘆いている。ゆとり教育の失敗競争をなくしてしまった教育制度の弊害が、取り返しのつかないくらい、世界の中で日本の競争力を低下させてしまっている。

 

内向きで、無関心で、無気力な若者を大量に生み出してしまった日本の教育システムを根本から変革する必要があるだろう。世界の70億人と戦うための武器、①英語、②IT、③ファイナンスを、いかして身につけたらいいか、これからエキサイティングな旅に案内しよう。