書評ブログ

『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』

「カジノとIR(Integrated Resort = 統合型リゾート)。日本の未来を決めるのはどっちだ?」と問いかけている本があります。

 

 

本日紹介するのは、日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリを受賞し、メディアを超えて横断的に活動する高城剛さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

高城剛『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』(集英社)

 

 

この本は、カジノとIR(=Integrated Resort ; 総合型リゾート)との違いを、海外の実例を示しながら、明確に解説して、日本の将来にとっての意味を問いかける書です。

 

 

また、20代後半にロサンゼルスに住んで、1990年代のラスベガスへ通い、アメリカのカジノやリゾートの現場を見て、またアジア関連のビジネスで、2000年代のシンガポールで仕事をしてきた著者の高城剛さんにしか書けない本になっています。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.なぜシンガポールは短期間で観光収入を3倍に増やせたのか

 

2.マニラ急成長の秘密と、マカオ衰退の理由

 

3.世界一のカジノ国フランス

 

4.90年代ラスベガスの成功と、近年のニューヨーク州のラスベガス化戦略

 

5.世界のカジノから日本は何も学び、何を生かすべきなのか?

 

 

本書の冒頭で著者は、「カジノとIR。それは、以って非なるものであり、このふたつにおける成り立ちや目的の違いをはっきりと認識していなければ、日本での成功はないだろう。」と述べています。

 

 

まず、1990年代に著者が見た、ラスベガスにて開催されるコンピュータ関連の最新技術や最新情報が集まる展示会「COMDEX」の話から始まります。

 

 

シェルドン・アデルソンが1995年に、この「COMDEX」を、ソフトバンクの孫正義社長に売却し、その売却資金をもとに、買収していた「サンズ・ホテル・アンド・カジノ」を、「ベネツィアン」に建て替えました。

 

 

この施設は、ベネツィアの都市を思わせる大運河を作り、水路にはゴンドラを浮かべ、ブランドショップや有名シェフによるレストランなどが立ち並ぶ街並みを完成させたものです。

 

 

1999年にオープンした「ベネツィアン」は、IR の原型とも言える施設で、「ラスベガスの全面的な再生」を巻き起こしたとして、『フォーチュン』誌にも大きく採り上げられました。

 

 

そして、ラスベガス・サンズは、この成功を境に、アジア太平洋地域での大型IR事業へと乗り出すことになった、と著者は紹介しています。

 

 

ラスベガスでは、もうひとり、「ザ・ミラージュ」というホテルで大成功を収めたスティーブ・ウィンの事業も本書では紹介しています。

 

 

ラスベガスの目抜き通りのホテル入口にある、定時に噴火する火山をイメージしたアトラクションや、徹底的なVIPサービスが、新たな客層に支持され、ラスベガスの街に新風を吹き込みました。

 

 

一方で、日本では1999年に東京都知事に就任した石原慎太郎氏が、2000年に「お台場カジノ構想」をぶち上げ、ラスベガスの成功に学べ、と提唱しました。

 

 

著者は、その「構想」にも関わることになりましたが、このアイデアはパチンコ業界の反対などで立ち消えとなり、シンガポールにその「構想」を奪われた形になった、と本書では指摘しています。

 

 

シンガポールでは1965年の建国以来、カジノを禁止していましたが、そうした中で、リー・クアンユーの息子で、3代目首相となったリー・シェンロンが決断し、観光産業の復興と都市の再開発を両立させる手段として、カジノではなくIRを政府主導で導入することにしました。

 

 

その後のシンガポールの躍進は、皆さんがご存知の通りで、シェルドン・アデルソンが率いる、ラスベガス・サンズ社が運営する「マリーナベイ・サンズ」は、2010年4月に開業し、総工費56億ドル57階建て3棟の高層タワーは、その斬新なデザインで、シンガポール観光のシンボルになりました。

 

 

とくに3棟のタワーの上をまたいで大きな船が載っているデザインは斬新で、展望デッキや水平線が空に溶け込むようにデザインされたインフィニティ・プールが大人気となっています。

 

 

このホテルを中心に、大型MICE施設、大型ショッピングモール、劇場とミュージアム、そしてカジノ施設で構成されています。

 

 

中でも、マリーナベイ・サンズの集客において最も大きな役割を果たしているのがMICE施設で、アジア最大級の国際会議場、国際展示場があります。延べ床面積12万平方メートルで、東京ドーム2.6個分収容人数4万5000人以上となっています。

 

 

マリーナベイ・サンズでは、2015年のホテル客室収入は約400億円モールの収入は約180億円。対してカジノの収入は約2500億円となっています。

 

 

つまり、施設全体の収入の8割以上を、IR施設の総敷地面積の5%しかないカジノが稼ぎ出しています。

 

 

また、施設全体の雇用者数は、直接間接雇用を合わせてトータル約1万2,000人にも上っています。

 

 

この本では、続いてカジノを採り入れたリゾートとして、マカオ、マニラ、フランス、ニューヨークといった世界の定評ある都市について、その開発の経緯や戦略について分かりやすく紹介していて、参考になります。

 

 

詳細については書きませんので、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。

 

 

もともと我が国でも、東京都によるお台場カジノを中心とした再開発構想が提唱されたり、観光庁によるインバウンド強化の施策が実行されたりしてきました。

 

 

そうした中で、安倍政権になって、ようやく、「カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)」が2016年12月15日未明の衆院本会議で自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

 

 

日本経済復活の「最後のチャンス」とも言われる、このIR(統合型リゾート)構想をぜひ成功に導くためにも、出来る限り多くの方々に本書を推薦したいと思います。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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