「ここ20年ほどで日本で最も話題になったキーワードはなんでしょうか。」と問いかけ、「そのひとつに『格差』があります。」と述べて、「その格差の中には他の国から見ると全然悩む必要のないようなバカバカしいものもありますし、改善できるようなものもあるんです。」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得、ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在は著述家として活動している谷本真由美さんが書いた、こちらの書籍です。
谷本真由美『バカ格差』(ワニブックスPLUS新書)
この本は、日本で様々な格差に対して日々悶々としている人たちに対して、格差の原因を考え、分析して、今後私たちはどのように生きていくべきかという提言をしている書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.日本のバカ格差 ワースト5
2.仕事のバカ格差
3.生まれついてのバカ格差
4.男女のバカ格差
5.世界のバカ格差
6.日本からバカ格差をなくすには
この本の冒頭で著者は、日本のバカ格差のワースト5を以下の通り提示して解説しています。
◆ タワーマンションの階数格差
◆ 住む地域のバカ格差
◆ 学歴のバカ格差
◆ お金のバカ格差
◆ 情報のバカ格差
これら5つの格差は、日本に特有のものであり、欧米先進国やアジアの諸国には見られない格差であり、日本社会が時代の変化に対応できていないための格差、ということができます。
続いて、「仕事のバカ格差」として、会社名、出世(役職)、派遣社員と正社員、男女、休日(有給休暇の消化率)による格差が、日本企業には広く見られ、今後AIに仕事を奪われる状況を考えると、日本企業や働き方について、大きな改革が必要になる、と本書では問題提起しています。
この本の中盤以降では、生まれついてのバカ格差(出身地格差、県内格差、親の教育格差、老後格差)については、日本社会では傾向が固定化し、世襲されていく流れになっており、著者は警鐘を鳴らしています。
但し、「住む地域格差」は欧米でも広がっており、知識産業に従事する人々は、大都市で打合せやネットワーキングを行い、高い報酬を得ていますが、生活の質の高いリゾート地や美しい地方都市に住み、通勤ラッシュとは無縁という自由なライフスタイルを享受している、と本書では紹介しています。
一方、知識産業の仕事を得られない人々は、貧しい地方から引っ越すこともできず、仕事も増えませんので、生活の質は益々下がっていくというのが今の構造、としています。
次に、男女格差大国ニッポンについて、以下のような日本で特有の慣習や制度が世界では驚かれるという事実を紹介・解説しています。
◆ 出産によるキャリア中断
◆ 表面的な男女「逆」差別(レディースデーなど)
◆ 配偶者控除
◆ 女性優遇トイレ
◆ デート代のおごり
本書の最後で著者は、「世界のバカ格差」として、中国とアメリカにおける格差を取り上げています。主なポイントは以下の通り。
◆ 中国の「広さ」と4つの世界の格差(①北京・上海など大都市、②広東・江蘇など沿海部、③中部各省、④貴州、チベットなど貧困地域)
◆ 階層移動が困難なアメリカ
◆ 家賃、物価が高いアメリカの都市、学費が高いアメリカ(教育は財力)
この本の締め括りとして著者は、日本からバカ格差をなくすために、以下の提言をしています。
◆ 状況を客観的に見よ!
◆ 異なる価値観に触れろ!
◆ お金を賢く使え!
◆ 外国と比較せよ!(日本はまだマシ)
◆ もっと自分の軸を持て!
あなたも本書を読んで、日本のバカ格差について考察し、自分の生き方を考え直してみませんか。
2020年12月3日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第173回】国際派ブロガーが説く「バカ格差」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2419日目】