「新しいアイデアも結局はすでにどこかにあったものの組み合わせでしかないということがよく言われる。これはほとんどの場合において正しいだろう。新しいアイデアは『借りてきて組み合わせる』ことで生まれる」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1964年神奈川県生まれ、株式会社東芝で技術者として勤務の後、アーンスト&ヤング、ギャップジェミニ等で欧米系コンサルティング経験を経て2012年より株式会社クニエ コンサルティングフェロー、ビジネスコンサルタントで著述家の細谷功さんが書いた、こちらの書籍です。
細谷功『アナロジー思考』(東洋経済新報社)
この本は、「アナロジー思考」をメインテーマとして徹底的にそのメカニズムと具体例を1冊丸ごと使って解説し、具体例をビジネスや日常生活の具体例に適用して説明している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.アナロジーとは何か、なぜ重要なのか
2.アナロジーのメカニズムを解明する
3.アナロジーの基本は「構造的類似点」を探すこと
4.アナロジーに必要な抽象化思考力
5.科学やビジネスに応用されるアナロジー
6.アナロジー思考力を鍛えるために
この本の冒頭で著者は、「アナロジーとは複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、それを別の分野に応用することである。この『構造を見抜く』というのがアナロジーの基本的な考え方であり、本書のキーワードである。」と述べています。
本書の前半では、「アナロジーとは何か、なぜ重要なのか」および「アナロジーのメカニズムを解明する」について以下のポイントを説明しています。
◆ アナロジーとは類推で、2つの世界の比例関係を利用した思考法
◆ アナロジーには、自分の理解、他人への説明、新しい発想の3つも目的がある
◆ アナロジーとは、関係ない世界から「借りてくる」発想のこと
◆ 一見まったく異なる世界の間でのアイデアの「貸し借り」ができる
◆ アナロジーは演繹的推論や帰納的推論とは異なるアブダクションの1つ
◆ アナロジーとは、アイデアを異なる世界から借りてくるための手法
◆ 借りる先の世界は借りてくる世界から遠いほど斬新な発想が得られる
◆ アナロジーとは「穴埋め問題」のようなもの
この本の中盤では、「アナロジーの基本は構造的類似点を探すこと」および「アナロジーに必要な抽象化思考力」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ アナロジーに重要なのは「構造的類似」を見つめること
◆「構造的」類似とは、複数の事象の「関係性」に関する類似で、見つけるのが難しい分、価値がある
◆ 構造的類似を見抜くために関係/構造の基本パターンを頭に入れておく
◆ 表面的類似と構造的類似の違いを意識する
◆ アナロジーに必要な構造的類似を見つけるためには「抽象化思考力」が必須
◆ 抽象化レベルが高いほど「遠くの世界から」アイデアを借りてくることが可能
◆ 抽象化思考力が高い人は、図解してシンプルに考え、たとえ話がうまい
◆ 抽象と具象は「行ったり来たり」して思考を膨らませることが重要
本書の後半では、「科学やビジネスに応用されるアナロジー」および「アナロジー思考力を鍛えるために」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ アナロジーが歴史上最も活用されてきたのは科学の分野におけるブレークスルー
◆ ビジネスの世界でアナロジー思考を活用するには「事業特性」にフォーカスする
◆「歴史から学ぶ」のもアナロジー思考で、「構造の変化」をとらえること
◆「個人の世界」の進展でも、経営学で培われた「企業のノウハウ」を活用できる
◆ 発想豊かな人は、多様な知識経験だけでなく、「つなげる力」を持っている
◆ アナロジー思考を極めるにおは、すべての事象を自らの世界と考える姿勢、アンテナを張っておくことが必要
◆ アナロジー思考に必須の抽象化思考力にはパズル問題が有効
◆ アナロジー思考は、論理的演繹ではないため、類似点と相違点の見極めが重要
また、具体と抽象の「行ったり来たり」の思考については、著者の細谷功さんの『具体⇔抽象トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』(PHPビジネス新書)を併せて読むと理解が深まり、お薦めです。
この本の締めくくりとして著者は、「アナロジーというのは入るのは簡単だが実はとてつもなく奥が深い」と述べています。
あなたも本書を読んで、「構造」と「関係性」を見抜く「アナロジー思考」を学び、ビジネスやキャリア開発・人生設計で実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2955日目】