「アマゾンが仕掛ける物流革命から、今、経済の地殻変動が起こり始めている。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、船井総合研究所などを経て、現在、物流コンサルタントとして活躍する角井亮一さんが書いた、こちらの新刊新書です。
角井亮一『アマゾンと物流大戦争』(NHK出版新書)
この本は、アマゾンが「ロジスティックス・カンパニー」として、世界のプラットフォーム(基盤)になろうとしている現実を明らかにしている書です。
「ロジスティックス」(=Logistics)の語源は、軍事装備の調達や補給、人員や物質の輸送など軍事業務における後方支援を意味する「兵站(へいたん)」にあります。
本書の冒頭で著者は、アマゾンのロジスティクスが多くのビジネスにとって見過ごせない影響を与える理由として、以下の2点を挙げています。
◆ ロジスティクスは非常に参入障壁が高く、物流ネットワーク網は一夜にして作ることはできない
◆ ロジスティクスはそもそも合理化、低コスト化の手段であるため、アマゾンにとって磨き上げ続けられる武器になっている
本書は以下の4部構成から成っています。
1.アマゾンが変える世界-経済の地殻変動が始まった
2.物流のターニングポイント-ネット通販と宅配便の異変
3.巨人アマゾンの正体-ウォルマート VS アマゾンの仁義なき戦い
4.物流大戦争の幕開け-アマゾンと競い合うための3つの戦略
まず本書の前半で、アマゾンの強みである「ロングテールの法則」を説明し、アマゾンの競合となるモール型ネット通販の弱点として、以下の3点を指摘しています。
◆ 物流品質のバラツキ
◆ 規模のメリットが生じない
◆ お客にとって利便性が悪い
モール型ネット通販のトップ企業である楽天は、物流面でのデメリットから苦戦していると言われています。慌てて楽天物流という子会社で大型物流センターへの投資を行ったものの、稼働率が上がらず赤字が続き、ついに縮小してしまいました。
そうした中で、顧客への最後の配送である「ラストワンマイル(=Last 1 mile)」の品質にこだわり、自前での配送にするなど工夫している事業者は、アマゾンとの競争の中でも健闘しています。
日本でロジスティクス面でも健闘している企業として以下の事業者が挙げられています。
◆ アスクル; 便利な場所にストックポイントとなる物流センターを設置しラストワンマイルは6割が子会社で配送
◆ カクヤス; 店舗から半径1.2km以内にのみ配送、飲食関係に品目を限定
◆ ヨドバシカメラ; ラストワンマイルを自前配送、店舗でのショールーミングも推奨
◆ セブン&アイ; オムニチャネルを打ち出し、セブンプレミアムを販売
◆ ゾゾタウン; ファッションに特化してサイズ表示を統一、アプリを使ったコーディネート
一方、アメリカ本国でアマゾンと競争する企業として、ウォルマートとの仁義なき戦いや、グーグルとの戦いについても解説されています。
壮大な価格・サービス競争の実態を詳しく知りたい方は、ぜひ本書をお読みください。
また、米国でもアマゾンに伍して優位な戦いをしている競争力ある企業として、以下の会社が紹介されています。
◆ ジェット・ドットコム; 完全会員制のネット通販
◆ ピーポッド; 任意の受け取り場所を選べるネットスーパー
◆ ザッポス; 返品無料の靴ネット通販、最高峰のホスピタリティー
◆ ギターセンター; 店舗にお客が集い、ネットで買う
◆ ワービーパーカー; 店舗に在庫を置かず、家で試着するメガネのネット通販
◆ ボノボス; 店舗で商品をチェックしてオンラインで購入するスタイルの男性向けアパレルブランド
以上のような実例から、著者の角井さんが考察した「アマゾンと競い合うための戦略」として、次の3点を提唱しています。
1.ラストワンマイルを重視する
2.独自商品を持つ
3.ネット×店舗のオムニチャネル
本書が紹介するアマゾンの戦略について、著者が最も参考にしている文献として、次の書籍を紹介していて、ぜひこちらも併せて読むことをお薦めします。
あなたも本書を読んで、巨人アマゾンとの競争で生き残る戦略を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を