書評ブログ

『「80歳の壁」を超える食事術』

「80歳をすぎても幸せで健康に暮らしている人は、朝から肉や魚を平らげるような人たちです。皆さん70代のうちからしっかり食べて太っています。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1975年熊本県生まれ、熊本大学医学部卒業、東京女子医大心臓血管外科レジデント時代に、やせ細っていく高齢の入院患者の実情を知り、栄養管理とリハビリの重要性を痛感、外科医からリハビリテーション科の専門医に転身熊本リハビリテーション病院でサルコペニア・低栄養研究センター長を務める医師・医学博士吉村芳弘さんが書いた、こちらの書籍です。

 

吉村芳弘『「80歳の壁」を超える食事術』(幻冬舎新書)

 

 

この本は、人生最後の10年を健康でよりよく生きることができるように、さらに健康な状態でもう10年生きられるようにするために、サルコペニアやフレイルサイクルを予防できるようにする書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.70歳になったら絶対にやせてはいけない

2.筋肉を増やす食事で、健康寿命をのばす

3.65歳からは食事制限しなくていい

4.「食べたくても食べられない」を解決する

5.薬を減らせば元気に生きられる

6.老後2000万円の貯金より70代の健康貯金を

 

 

この本の冒頭で著者は、「多くの人は、がんや心疾患、脳卒中の心配はしても、サルコペニアやフレイルの心配はあまりしていないようです。」と述べています。

 

 

本書の前半では、70歳になったら絶対にやせてはいけない」および筋肉を増やす食事で、健康寿命をのばす」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 健康で幸せな80代は、小太り・ほがらか・おしゃべり

◆ 70歳をすぎた人の見た目年齢は、その人の寿命と関連している

◆ コロナ禍以降、食欲低下・低栄養で要介護が急増

◆ がんや脳卒中より筋肉不足と虚弱で死に至る

 

◆ フレイルサイクル:低栄養→サルコペニア→基礎代謝量の低下→エネルギー消費量の低下→食欲の低下・摂取量の低下→低栄養

◆ 人生最後の10年を健康でよりよく生きるには、65歳以降70代の過ごし方が重要

◆ 2020年から75歳以上は「メタボ健診」ではなく「フレイル健診」に

◆ 65歳以上はメタボ対策よりフレイル対策を

 

◆ 高齢者の半数は筋肉不足、長生きする人はふくらはぎが太い

◆「指輪っかテスト」でサルコペニアの簡易診断を

◆ 低栄養のチェックは血液中のアルブミンの数値でわかる

◆ 低栄養はエネルギー摂取量の減少、低体重、体重減少、浮腫(むくみ)、握力低下

 

◆ 強く長く生きるには、BMIを20以上に

◆ GLIM基準による低栄養診断を

◆ 筋肉は30歳をピークに1年で1%ずつ減少、80歳ではピークの半分に

◆ 高齢者の1割はサルコペニア(360万人)

 

◆ むせる原因は喉の筋力低下、全身運動で予防できる

◆ 全身の金の句を鍛える「起立着座運動」

◆ がんなど慢性疾患になると筋肉が減る

◆ 歯周病やCOPD(タバコ病)でも体重減少が止まらなくなる

 

 

この本の中盤では、65歳からは食事制限しなくていい」および食べたくても食べられないを解決する」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 65歳からは、メタボから低栄養への対策ギアチェンジを

◆ 野菜を最初に食べて、血糖値の乱高下に注意

◆ 栄養は、たんぱく質・主菜・副菜の3本柱をしっかりと

◆ 毎食、肉・魚・豆腐・牛乳を

 

◆ 朝食のステーキは理想的、卵は1日2~3個

◆ 胃もたれする人は、ちくわやはんぺんがお勧め

◆ 必須アミノ酸のバリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)が重要

◆ 筋トレを行う時は血液中のBCAA濃度を高めておく

 

◆ BCAAの中でもロイシンが注目、赤身肉と牛乳を摂る

◆ ロイシン効果を高める「起立着座運動」

◆ お腹が空いたら夜中でもがまんせずにお菓子を食べる

◆ 水はしっかり飲む、朝のデザート(果物)は最高

 

◆ ココナッツオイルやMCTオイルでエネルギー不足を解消

◆ 筋肉には白筋(速筋)と赤筋(遅筋)の2種類がある

◆ 白筋は加齢で衰え、赤筋は低栄養で衰える

◆ 白筋は筋トレ(起立着座運動)で鍛え、赤筋は有酸素運動(ウォーキング)で鍛える

 

◆ 現代人は腕の筋肉は20%、足の筋肉は10%しか使っていない(最低30%を)

◆「おっくう」な気持ちがフレイルの始まり

◆ 入れ歯、虫歯、嚥下障害など口腔ケアが重要

◆ 8020運動から、口腔衛生に「オーラルフレイル」という考え方に

 

◆ 長生きする人には「かかりつけ歯医者」がいる

◆ 自分の歯を保つ「予防歯科」が重要

◆ 食べられないのは「老年期うつ」かも知れない

◆ 家に閉じこもらないしかけづくりの「うつ予防」が大切

 

 

本書の後半では、薬を減らせば元気に生きられる」および老後2000万円の貯金より70代の健康貯金を」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 高齢化で「ポリファーマシー問題」(複数の薬剤)が注目

◆ 5種類以上の薬を服用していると転倒の発生リスクが高まる

◆ 日本の65歳以上の6割以上が複数の疾患を持つ「マルチモビリティ」(=マルモ)

◆ ポリファーマシーの原因は「処方カスケード」(薬の副作用に対処する薬を処方)

 

◆ 必要のない薬は飲まない(=引き算の思考)

◆ 降圧剤の服用は見直す

◆ ポリファーマシー外来や薬剤師に相談して薬を減らす

◆ 老後2000万円の貯金よりも70代の「健康貯金」を

 

◆ きちんとコミュニケーションが取れる「かかりつけ医」を

◆「長く生きる」より「よりよく生きる」を目標に

◆ 体重、筋肉、仲間の力で「80歳の壁」は超えられる

◆ 65歳~70代は、健康を蓄えるラストチャンス(健康貯金)

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「80歳をすぎてのリカバリーはとても困難なので、70代のうちが勝負です。」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、「80歳の壁」を超える食事術を学び、体重・筋肉・仲間の力65歳から70代の間に、しっかり「健康貯金」をしていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2974日目】