書評ブログ

『「80歳の壁」は結局、免疫力が解決してくれる』

「日本の医療について私が非常に不満に思っている点の一つに免疫学が軽視されていることがあります。」「免疫力が保たれれば、高齢者には命取りになるコロナなどの感染症に強くなるだけでなく、がんの予防にもなります。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒東京大学医学部付属病院精神神経科助手米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんと、1942年生まれ、千葉大学大学院医科研究科修了(医学博士)、スタンフォード大学留学後、東京大学医学部免疫学助手・講師を経て、順天堂大学医学部免疫学教授、同大医学部長を歴任して、現在は順天堂大学医学部免疫学特任教授・名誉教授、同大学大学院医科研究科アトピー症患研究センター長奥村康さんが書いた、こちらの書籍です。

 

和田秀樹・奥村康『「80歳の壁」は結局、免疫力が解決してくれる』(宝島社新書)

 

 

この本は、著者の和田秀樹さんが、日本における免疫学の権威奥村康先生と対談して、「がんで死ぬ国では、免疫力を高めるために栄養状態をよくして、ストレスを軽減するのが大切だ」という考え方が正しいものかどうかを学び直し、最近のトレンドである精神神経免疫学を深めている書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.新型コロナと免疫力

2.免疫力は生命力

3.がん予防とNK細胞

4.ストレスと免疫

5.免疫力のための生活習慣

6.食と免疫力

7.免疫力を下げないための生き方

 

 

この本の冒頭で著者は、「日本の医学の場合、臓器別の専門化が進みすぎているわけですが、臓器に対する治療や診断ばかり行われて、心の問題や免疫の問題というような人間全体にかかわることについて、あまりにおろそかになっている」と述べています。

 

 

本書の前半では、新型コロナと免疫力」および免疫力は生命力」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 免疫の主役は「白血球」

◆ 自然免疫(NK細胞)と獲得免疫(抗体を作るミサイル攻撃のB細胞・地上戦のT細胞)

◆ コロナは命にかかわらない弱毒性ウイルスなので、B細胞に記憶されない

◆ 日本のコロナ対策は、効果が限定的なワクチン一本槍で、免疫力を落とす対策ばかり

 

◆ 免疫力=NK細胞の活性を維持して、日々発生するがん細胞をやっつける(警察官)

◆「脱・真面目」が日本を救う

◆ 免疫・神経・内分泌という目に見えない3つの連帯で生命が維持

 

◆ 自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが免疫機能に大事

◆ 自然免疫の警察官であるNK細胞と違って、T細胞やB細胞は110歳まで機能が維持

◆ 移植技術の最先端は、免疫抑制の研究

◆ 免疫力は生命そのもの

 

 

この本の中盤では、がん予防とNK細胞」およびストレスと免疫」について考察しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 毎日1兆個生まれる新しい細胞のうち、5,000個がDNAコピーミスのがん細胞

◆ 生まれたばかりの小さながん細胞をNK細胞が潰す仕組み

◆ NK細胞の活性が低くなると、がんを発症する

◆ がんの「転移予防」として免疫機能がしっかり維持する状態を保つ

 

◆ 遺伝子診断で、転移するがんか、転移しないがんかが分かるようになってきた

◆ 臓器別診療で、手術後の患者のQOLを考えない医師が多い、総合診療を

◆ 心の健康を保つのが難しく、免疫力が下がりやすい時代

◆ うつ病の患者は人口の3%、日本では350~400万人と推定(WHO)

 

◆ 日本人は真面目過ぎで、交感神経優位、免疫力が低下して、がん患者が増加

◆「健康だから笑うのではなく、笑うから健康になる」

◆ 目標による多少のストレスと適度な「不真面目さ」がある方が免疫力は高まる

◆ 真面目で完璧主義の人にうつ病が多い、柔軟な思考パターンで「心の免疫」を

 

 

本書の後半では、免疫力のための生活習慣」「食と免疫力」および免疫力を下げないための生き方」について、著者の見解を紹介・解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 薬が免疫力を低下させている(フィンランド症候群)

◆ 免疫のための良い生活習慣としてお勧めは、毎朝「日光」を浴びる

◆「寝なくちゃいけないと思うから不眠になる」(森田療法の森田正馬医師)

◆ 自然現象である睡眠の質は、自分でコントロールできない

◆ 神経質になり過ぎで一喜一憂するのが一番、免疫力を下げる

 

◆ バリエーション豊かな食事は寿命を延ばす

◆ コレステロールは細胞膜や各種ホルモンの原料にもなるので、免疫機能を保つのに大切

◆ コレステロール値の高い人の方が活発、エネルギッシュで発がん率も低い

◆ 血管を通じて体の各組織に運ぶのがLDL(善玉コレステロール)、回収するのがHDL(悪玉コレステロール)で、どちらも大切

 

◆ 正解を求めようとし過ぎず、いい加減さや笑い、ユーモアが大切

◆ ある程度のストレスのための「競争」は必要、競争の尺度は複数で多様に

◆ 免疫は、百貨店の取締役会のように人間の体の中枢を司る司令系統を統括する役割

◆ 探求心の赴くままの研究者人生

 

 

この本の締めくくりとして著者の奥村康さんは、「NK細胞は最前線で体のパトロールをし、命を脅かさないように、ウイルスやがん細胞を殺すような役割が知られています。」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、「死ぬまで健康」の秘訣はNK細胞にあること、および免疫機能を活性にするメカニズムを学び、免疫機能に良い健康習慣を身につけていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2923日目】