「仕組みのよくわからない金融商品、サービスには手を出さない」「注意すべき資産運用はことごとく『理解しにくい複雑な仕組み』である」と述べている本があります。
本日紹介するのは、2007年に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に入社し、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍したのち、2017年に独立してリーファス株式会社を設立、金融商品仲介業の登録を受け、現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)法人・リーファス株式会社・代表取締役社長で、シニア投資コンサルタントの西崎努さんが書いた、こちらの書籍です。
西崎努『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』(アスコム)
この本は、「やってはいけない資産運用」を切り口にして、シニア世代はシニア世代に適した運用のやり方があることを、知っていただくための書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.シニア世代にとって金融商品の9割はムダ
2.シニア世代がやってはいけない8つの資産運用
3.不要な金融商品・金融サービスの見抜き方
4.シニア世代は投資とどう向き合えばいいのか?
この本の冒頭で著者は、おすすめの「いい投資」として、次の2つがあり、それぞれまったく別物であることを説明しています。
◆ 若い世代が将来のために資産を増やす「資産形成」
◆ シニア世代が資産を守る「資産運用・管理」
本書の前半では、「シニア世代にとって金融商品の9割はムダ」について、以下のポイントを説明しています。
◆ シニア世代は運用コストが非常に高い投資ばかりしている
◆ 問題は個人ではなく、大手金融機関のビジネスの仕組み
◆ 金融取引のトラブルは大半がシニア向け「適合性の原則」違反
◆ 金融機関担当者は運用のプロではなく販売のプロ
この本の中盤では、「シニア世代がやってはいけない8つの資産運用」および「不要な金融商品・金融サービスの見抜き方」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 割高な投資信託の詰め合わせの「ファンドラップ」
◆ ファンドラップと超富裕層向け「ラップ口座」は別物
◆ 市場の急変で大損する「EB債(他社転換可能債)」
◆ 一過性の人気ですぐ下がる「テーマ型投資信託」
◆ 高金利の裏に落とし穴がある「新興国通貨建て債券」
◆ リスク満載の「変額個人年金保険」「外貨建て生命保険」
◆ 想定外の損失もある「レバレッジ指数ETF」
◆ タコ足配当で元本割れ続出の「毎月配当型投資信託」
◆ 割高な金融商品と抱き合わせの「金利優遇キャンペーン」
◆ 不要な金融サービスのチェックポイント①:リスクより良い話ばかり説明
◆ ポイント2:運用コストの説明が曖昧
◆ ポイント③:過去実績の良い話ばかりする
◆ ポイント④:商品の仕組みが複雑で理解できない
◆ ポイント⑤:ライフプランや資金計画を考慮せずに提案してくる
本書の後半では、「シニア世代は投資とどう向き合えばいいのか?」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 投資の成否は「アセットアロケーション」が8割
◆ シニア世代に向いているシンプルな債券投資
◆ 債券投資の「三大投資戦略」は、①ラダー型、②ダンベル型、③ブレッド型
◆ 金融商品を見分けるポイント:①安全性、②収益性、③流動性、④手数料、⑤実績
◆ 投資の戦略:ゴールベース・アプローチとコア・サテライト戦略
◆ 80歳を目処に、資産の管理をできるだけシンプルに
◆「お金の終活」:①配偶者や子供の意向、②ライフプランシミュレーション、③資産の現金化、④遺言書の作成
◆ IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)だから生涯の資産パートナーになれる
本書で提言しているシニアの投資法は、拙著『定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)にて私が推奨しているコンセプトと共通する部分が多く、強く共感し、深く感銘を受けました。
この本の締めくくりとして著者は、「命の次に大事といわれるお金、それもまとまった金額を特定の商品やサービスに預けるのであれば、一方通行の情報で判断するのは危険です。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用」を学び、本当にやるべき投資を自分の頭で考えて判断してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2976日目】