書評ブログ

『50歳からの賢い住宅購入』

「アラフィフの読者がこれから住宅を購入する目的は様々です。これまでの人生、今おかれている状況、購入資金として所有している金額も人によって千差万別です。」と述べて、50歳からの住宅購入を成功に導く方法を解説している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1972年兵庫県生まれ、監査法人勤務時代に資格を伏せて開始した「千日のブログ」がきっかけとなり、住宅ローン不動産分野のコラムニストとなり、現在はオフィス千日合同会社代表社員、公認会計士千日太郎さんが書いた、こちらの書籍です。

 

千日太郎『初めて買う人・住み替える人 独身からファミリーまで 50歳からの賢い住宅購入』(同文館出版)

 

 

この本は、少子高齢化社会の前提のもと、40代後半から50代前半のタイミングで家を買う人を対象に、現状を把握し、計画を立て、住宅購入を成功に導くためのノウハウを提供する書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.まえがき 50歳で家を買う人が少子高齢化社会を幸福に生きるために

2.少子高齢化社会を幸福に生きたい

3.個人資本から「買える家の価格」と「老後の安全性」を判断する

4.社会資本=共に住まう相手との絆を見直し年金の額を知る

5.アラフィフからの住宅ローン

6.アラフィフからの住宅購入実例

7.老後の頼りは「お金」だけじゃない

 

 

この本の冒頭で著者は、「本書には住宅購入を機会に正しく現状を把握する方法と、現状に合わせた対策について記しています。今ある富を幸福のために配分し、少子高齢化社会の住宅購入を成功に導く方法について、理解しやすい言葉でストレートに伝えることに力を注ぎました。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「少子高齢化社会を幸福に生きたい」をテーマとして、少子高齢化社会の定義と「幸福」へのカギを中心に、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 少子高齢化社会は、年金によって老後の生活が保障されない環境

◆ 少子高齢化社会で幸福になる2つの条件は、「お金」と「絆」

◆ お金の土台は「個人資本」、絆の土台は「社会資本」

◆ 個人の貸借対照表で「純資産」の数字を把握することが全ての始まり

◆ 貸借対照表では「知的資産」(=純資産を増やす個人の脳直)がカギ

 

◆ 知的資産の源泉は、自分を幸福にする選択肢の豊富さ

◆ 知的資産はお金を稼ぐ能力だけでなく、稼いだお金をどのように配分して自分自身を幸福にしていくか、幸福のバリエーションを含めた能力

◆ 知的資産のアップデートに遅すぎるということはない

◆「絆」とは、小さな家族だけでなく、広く社会との繋がり

◆ 定年を前に、個人資本(純資産と知的資本)と社会資本(絆)を見直し、人生後半の目的である「幸福になる」ための準備を

 

 

この本の中盤では、「個人資本から買える家の価格と老後の安全性を判断する」および「社会資本=共に住まう相手との絆を見直し年金の額を知る」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 無理なく完済できる住宅ローン金額計算4つのルール(➀手取り月収の4割以下、ボーナス返済無し、②元利均等返済、③固定金利、④定年時ローン残高1000万円以下)

◆ 45歳、年収600万なら購入できる家の上限額は、3,154万円

◆「いつまで働けるか」が知的資産のマネジメント

◆ 定年時の貸借対照表を作り、純資産の大きさが選択肢のバリエーションで老後の幸福につながる

◆ 純資産をプラスにできる家を買う

 

◆ 社会資本は、近い人との絆、遠い人との年金額

◆ 定年後の新たな社会資本は2回目の学びと働きのサイクルから獲得する

◆ 70歳まで年金の繰り下げ受給で42%増やす選択もある

◆ 繰り下げ受給には3つの注意点(➀加給年金を受け取れない、②税や社会保険料も増える、③遺族厚生年金は増えない)

◆ 地方移住を成功させるカギは社会資本の獲得

 

 

本書の後半では、「アラフィフからの住宅ローン」およびアラフィフからの住宅購入実例」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 変動金利と固定金利の本質的な違いを理解する

◆ 借入期間は可能な限り長く設定する

◆ 住宅ローン控除の活用で賢く節税する

◆ 住宅ローンの金利によってベストな借入金額がある

 

◆ 54歳大学教授 老後破産にイエローシグナル

◆ 44歳独身女性 賃貸入居を断られマンション購入を決めた

◆ 49歳独身女性 障害のある80歳母と2人暮らし

◆ 住宅ローンの本番審査直後に55歳夫がガンに! 妻からの相談

◆ 55歳と45歳の共働き夫婦 ペアローンで買う

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「インターネットやSNSを利用することで、組織に属することなく個人でお金を稼ぐ方法が増えています」「今のうちから定年退職後に組織を離れてもお金を稼ぐことができるよう準備を始めておくことをお勧めします。」と述べています。

 

 

本書の第2章で説明されている「知的資産」とは、それによって誰かにメリットをもたらす「価値」で、その価値を測る手っ取り早い方法は、自分の価値をインターネットで数字に変えることだ、と著者は言います。

 

 

この本の問題意識は、新刊拙著『定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)で提唱している内容と共通する視点が多く、ぜひ併せてお読みいただきたい。とくに、第4章老後ライフスタイルを決定づける「終の住処」は、本書と併せて読むと参考になります。

 

 

また、定年世代の住居については、マンショントレンド評論家日下部理絵さんの新刊『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)も、様々な事例がとても参考になる良書で、お薦めします。

 

 

あなたもこの本を読んで、不動産・金融業界に精通した公認会計士が伝授する「50代からの賢い住宅購入術」を学び、実践してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2786日目】