「どんな老後(セカンドライフ)を過ごしたいのか、そのためにはどのくらいの資金が必要なのか、どんな計画で実現していくのか。」を、家族とじっくり考えて、何よりあなた自身が自分らしい生き方を見つけて生きていくことを提唱し、「老後2000万円問題」に対処することを呼びかけている本があります。
本日紹介するのは、1957年生まれ、慶應義塾大学卒業後に大手金融機関で40年間勤務し、14回の部署異動、11回の転勤、11年間の単身赴任生活など「会社一筋の人生」を貫き、その後はファイナンシャルプランナーとして、自身のライフプランを見直して老後資金を捻出するとともに、専門雑誌のコラムや講演活動で50代から同世代のリタイア世代にエールを送っている水上克朗さんが書いた、こちらの書籍です。
水上克朗『50代から老後の2000万円を貯める方法』(アチーブメント出版)
この本は、56歳で突然、銀行から出向を言い渡されて、年収が360万円に下がり、同時期に父親の認知症や母親の病気などで人生最大のピンチを迎えた著者が、50代からムダを無くし、老後資金を捻出する方法を、自らの経験をもとに、漫画を活用して分かりやすく提案・解説している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.プロローグ 合併で突然の出向!50代からの収入減
2.50代から無理なくムダをなくす
3.絶対失敗できない!シニアのキャリアサバイバル術
4.親の介護・医療で1400万円!? 備えはなくても憂いはなくす
5.老後の安心をお金で手に入れる 退職金・年金・雇用保険
6.エピローグ 老後でほんとうに大切なもの
この本の冒頭で著者は、著者の「50代からの老後資金捻出例」を、19項目・合計3,773万円の効果として挙げています。
著者によれば、支出の「落とし穴」である「イベント費」をきちんと管理することだ、と言います。
続いて、「収入ダウンの4つの壁」を以下の通り紹介しています。
1.役職定年(管理職定年)
2.60歳定年(再雇用)
3.年金生活スタート
4.配偶者との死別
そして、「見えざる2つの壁」として、次の壁を挙げています。
◆ 病気
◆ 介護
次に、老後になってもなかなか減らない支出(普通の夫婦での生活で月22万円、ゆとりある生活でつき36万円)に対して、老後資金を捻出するために、本書では以下の「節約効果の高い4つの支出」を見直すことを提言しています。
1.自動車(500~700万円)
2.保険(360~840万円)
3.固定費<通信>(100~200万円)
4.住宅ローン借り換え・繰り上げ返済(100~400万円)
そして、支出削減のコツは、「一気に」ではなく、「少しずつ」見直すことだ、と著者は述べています。
本書の前半では、著者が勧める「シニアのキャリアサバイバル術」が紹介されています。ポイントは以下の通りです。
◆ 40%以上の大幅収入ダウンでも継続雇用がおすすめ
◆ 50代と60代の転職市場は違う、3つの優先順位に従って決断する
◆ 起業は退職前から準備する
この本で提言している通り、失敗しないキャリアサバイバル術としては、概ね著者の考え方に私も同感ですが、私、大杉潤が2018年に出版した『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)では、できるだけ長く働き続けることができる「起業」を薦めています。
さらに70~80歳の間でもう一度、キャリアチェンジをする「トリプル・キャリア」という人生設計で、できれば「生涯現役」で仕事をすることを提案しています。ぜひ、併せてお読みください。
本書の後半では、親の介護・医療や、退職金・年金・雇用保険について、具体的に解説しています。
詳細はぜひ、この本を手に取ってお読みください。私も共感するポイントを以下に挙げておきます。
◆ 介護・医療費用は1人当たり700万円準備
◆ 介護離職は増えているが、収入も大幅減になるため避ける
◆ 高額療養制度、高額介護サービス制度を合算利用する
◆ 相続に強い税理士を見極めて、書面添付制度を依頼する
◆ 退職金は一括で受け取り、非課税枠をいっぱいまで使う
◆ シニア投資は守りに徹する
◆ 自分がもらえる年金は「ねんきん定期便」で確認する
◆「特別支給の老齢厚生年金」はもらい忘れに注意
◆ 定年退職後も夫婦二人で細く長く働けば、老後資金2000万円は貯まる
この本の最後で著者は、「老後のお金について考えることは人生を考えることなのです」と述べています。つまり、50代以降の人生後半で、本当に大切なことは「生き方を選ぶこと」なのです。
あなたも本書を読んで、50代から老後の2000万円を貯める方法を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!