「平均年収があっても、多くは家計がギリギリ。得体のしれない将来不安も抱え、出費を抑えている。これでは消費が落ち込み、景気がよくならないのも当然だ。」と述べている本府があります。
本日紹介するのは、1975年茨城県生まれ、神戸大学法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社「エコノミスト」編集部記者を経て、2007年よりフリーのジャーナリスト、就職氷河期世代の雇用・結婚・出産・育児と就業継続などの問題を中心に活動する小林美希さんが書いた、こちらの書籍です。
小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)
この本は、就職氷河期世代の人々を取材し、個々の生活のディテールに迫り、「平均年収では ”普通” の暮らしができない国」の現実を描いている書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.平均年収でもつらいよ
2.平均年収以下はもっとつらいよ
3.この30年、日本社会に何が起きたのか?
この本の冒頭で著者は、「平均年収でも生活が崩れてしまうという現実がもたらす未来は、どんな世界になるのだろうか。私たちは今、どんな社会で生きているのだろうか。」と問いかけています。
本書の前半では、「平均年収でもつらいよ」をテーマに、就職氷河期世代の人々の暮らしの実態を描いています。主なポイントは以下の通り。
◆ 年収520万円でも毎月10万円の赤字で、何もできない「中流以下」の暮らし
◆ 世帯年収1000万円でも「下の方で生きている」と実感
◆ 世帯年収900万円でも不妊治療に対する経済的不安
◆ 世帯年収1000万円でも教育費が心配で500円の昼食
◆ 世帯年収1300万円の看護師夫婦は月13回の夜勤をこなす激務
◆ ウーバーイーツの副業を含めて世帯年収1500万円でちょっとした贅沢
この本の中盤では、「平均年収以下はもっとつらいよ」の事例について、次のポイントを紹介・説明しています。
◆ 月9万円のシングルマザーはスーパーで「半額シール」の買い物
◆ 世帯年収400万円の介護ヘルパー、子どもの知的障害で借金地獄
◆ 世帯年収540万円の清掃員は子どもの習い事が悩みの種
◆ 世帯年収700万円の保育士夫婦、共働きでも収支トントン
◆ 年収200万円の大学非常勤講師は、認知症の母の介護地獄
本書の後半では、「この30年、日本社会に何が起きたのか?」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 中間層が崩壊すれば日本は沈没する
◆ 富の二極分化で中間層が崩壊する
◆「中流の暮らし」をするには、年収600万円以上というアンケート調査
◆ 派遣は麻薬と同じ
◆ 世界から完全に取り残された日本
◆ 老後破綻と隣り合わせの財政破綻
◆ 高付加価値のものづくりへ
◆ 安すぎるこの国の絶望的な生活
この本の締めくくりとして著者は、「私たちは日々の生活で精いっぱいになり、考える余裕をなくしている。」と述べています。
あなたも本書を読んで、30年、40年にわたって作り上げられた格差を生み出す構造問題を改めて振り返り、そこから第一歩を踏み出してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2959日目】