「若者が選挙に行って『政治参加』したくらいでは何も変わらない。」と述べて、22世紀のの民主主義を展望している本があります。
本日紹介するのは、東京大学卒業、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得、一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任し、夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表の成田悠輔さんが書いた、こちらの書籍です。
成田悠輔『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(SB新書)
この本は、「民主主義の劣化が今世紀に入ってから世界的に進んでいること、そしてその劣化の速いのが民主国家であること」について考察している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.故障
2.闘争
3.逃走
4.構想
この本の冒頭で著者は、次の3つを記しています。
◆ はじめに断言したいこと
◆ 要約
◆ はじめに言い訳しておきたいこと
本書の前半では、「故障」をテーマとして、以下のポイントを説明しています。
◆ 資本主義は強者が閉じていく仕組み、民主主義は弱者に開かれていく仕組み
◆ 資本主義が加速する一方、民主主義は重症に
◆ 民主主義的な国ほど、今世紀に入って経済成長が低迷を続ける
◆ 民主主義の失われた20年が始まった2000年頃にITプラットフォーマーの独占
◆ インターネットやSNSの浸透に伴って民主主義が劣化
◆ ポピュリスト的言動、ヘイトスピーチ、イデオロギー分断、保護主義貿易
◆ 民主国家ほど貿易、資本や設備の投資が伸び悩み
◆ 情報通信環境が激変したが、選挙制度はそのままという問題
この本の中盤では、「闘争」および「逃走」について、著者の見解を紹介・解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 民主主義が今世紀を生き延びるための「闘争」「逃走」「構想」
◆ ソーシャルメディア、選挙、政策の悪循環に楔を打ち込む
◆ シルバー民主主義の絶望
◆ 加速する世界と技術についていけない教育の問題
◆ 民主主義を見捨てて外部へ逃げる
◆「タックスヘイブン」と「デミクラシーヘイブン」
◆ 独立国家をゼロから作る、買ってしまう
◆ 次に来るのは「資本主義革命」
本書の後半では、「構想」をテーマとして考察しています。主なポイントは次の通り。
◆ 世界と民主主義を食い尽くすアルゴリズム技術環境を逆手に取った選挙の更新
◆ 民主主義とは、データの変換
◆ 万華鏡としての民意の様々な表情
◆ アルゴリズムで民主主義を自動化する
◆ 金融政策の意思決定がアルゴリズム化
◆ 自動価値判断とアルゴリズム透明性
◆ 無意識民主主義の来るべき開花(思考実験)
◆ 民主主義の再生に向けた無意識データ民主主義
この本の締めくくりとして著者は、「今の選挙と民主主義の故障の構造を探り、選挙制度を作り変えられないか内側から逃走したり、独立都市・国家へと逃走して新しい政治制度をゼロから作り直したり、無意識データ民主主義国家の構想をデザインしたりしてみよう。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「22世紀の民主主義」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2899日目】