書評ブログ

『2030―2040年 日本の土地と住宅』

「都市部ではタワーマンション建設ラッシュ、郊外では新規の住宅地開発、そして空き家の増加・・・と、都市の中に私たちが住まう余地は明らかに増えています。にもかかわらず、今、なぜ、住宅は高騰し、入手困難になっているのでしょうか。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、兵庫県生まれ、大阪大学基礎工学部卒業、同大学大学院工学研究科修士課程修了後、ゼネコンにて開発計画業務等に従事。その後、東京大学大学院都市工学専攻に入学。2002年博士(工学)取得。東京大学先端科学技術研究センター特任助手、東洋大学理工学部建築学科教授等を経て、2020年度より明治大学政治経済学部教授のほか、日本都市計画学会理事、公益財団法人 都市計画協会理事野澤千絵さんが書いた、こちらの書籍です。

 

野澤千絵『2030―2040年 日本の土地と住宅』(中公新書ラクレ)

 

この本は、不動産価格が高騰する現状を直視するとともに、その根底にある高コスト化という構造的な問題が今後の私たちの土地・住宅、ひいては街の未来にどのような影響を及ぼすのか「都市政策」の観点から論じている書です。

 

本書は以下の5部構成から成っています。

1.この10年の地価高騰を読み解く

2.今、なぜ、家が手に入りにくいのか?

3.高コスト化する再開発

4.中古マンション編:住宅の流通量が増加する駅

5.中古戸建編:住宅の流通量が増加する駅

 

この本の冒頭で著者は、「本書から、暮らしやすそうな街や住宅はまだまだあるという明るい未来を少しでも読者の皆様に感じ取っていただければ幸いです。」と述べています。

 

本書の前半では、「この10年の地価高騰を読み解く」について以下のポイントを説明しています。

◆ 10年で約6割の市街化区域で地価上昇

◆「都市再生緊急整備地域」にて地価が上昇

◆ 鉄道駅から徒歩圏外では下落傾向

◆ 災害リスクが高い、地価の安いエリアで人口が増加

◆ 小学校不足や観光開発のスプロール問題

 

この本の中盤では、「今、なぜ、家が手に入りにくいのか?および「高コスト化する再開発」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 東京23区の新築マンションは、生活費・教育費・管理費負担から手が出ないレベルに

◆ 札幌市のマンションは再開発等による高額物件増加で10年前の1.5倍に高騰

◆ 新築マンション供給は10年前から半減、「都市化」し切って開発余地が減少

◆ 新築マンション価格の上昇に伴って中古マンション価格も高騰

 

◆ 空き家の戸建ては多いが流通に回らない

◆ 東京都の住宅購入年齢の世帯数は2025年がピークで、その後は急減する見込み

◆ 現在の需要層の立地ニーズ(駅近、通勤時間短い)を満たす住宅供給が不足

◆「手が出ない住宅」と「手を出したくない住宅」ばかりが増加

 

本書の後半では、「中古マンション編:住宅の流通量が増加する駅および「中古戸建編:住宅の流通量が増加する駅」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3588日目】