ヘイ・コンサルティングは、1943年アメリカで創設された人材・組織関係のコンサルティング・ファームだ。 「ヘイ・システム」 という報酬制度とコンピテンシーは同社が開発した。
同社は、1997年から毎年、フォーチュン誌と共同で「世界で最も称賛される企業」ランキングを調査・公表している。本書は、世界で最も称賛される人事を行っている事例を含めた理論書だ。
本書によれば、人事の手本として最も定評のある企業はGEだ。とくに、そのリーダー育成プログラムは優れている。
GEがリーダーに求める条件は、①長期にわたって成果を出す、②ゆるぎない 「GEバリュー」 を持ち、世界をより良い場所にしていく企業を構築することだ。
そのために必要な資質は、①外部志向、②Clear Thinkinng(明確な思考)、③想像力、④専門性、⑤包容力(チームを鼓舞する力)の5つだ。
GEのリーダーシップ・モデルとは、①GEバリュー、②専門知識と能力、③マネジメントとしての基本的能力(財務と戦略立案)から成る。それは、人を動かして結果を出すことにほかならない。
GEでは、6ヶ月毎のローテーションにより2年間で4つの部署でビジネス課題を解決する。人材を育成しなければ業績を上げられない仕組みだ。
ダイバーシティ(多様性)のないところにイマジネーション(想像力)はないのであり、人を動かして結果を出すという、「学習する文化」 を根付かせねばならない。
さらに、人を育てるにはストレッチ(高い目標)が必要となる。大多数の人材集団の一人一人について、潜在能力を発掘することが大切だ。
本書は、リーダーの育成に携わる企業幹部、人事責任者、あるいは経営者にとって、多くの示唆が得られる名著だ。ぜひ一読することを強く薦めたい。