昨日に続き、言語学博士のウィリアム A.ヴァンス氏の著書を紹介したい。ヴァンス氏は「本当の英語力はスピーキング力だ。」と述べている。
スピーキングは、能動的な行為だし、ライティングのように書き直したり、時間をかけたりすることも通常、できないため、やはり第二言語として取り組む学習者にとって、最も難易度が高いジャンルだろう。
本書は、英語でのスピーキング能力をつけるにはどうすればよいかを書いた書籍だ。ヴァンス氏の見識がいたるところに散りばめられていて、多くの示唆に富んでいる。
本書によれば、英語でスピーキングをするにはまず、英語で考えることが必要だとしている。それは、以下の7つの思考法に整理することができる。
1.英語の情報パッケージ
2.潜在意識のテンプレート
3.滑らかなサウンド・ストリーム
4.成功を左右する雑談
5.メロディーとそこに隠された意味
6.標識となる言語の威力
7.メッセージデザイン
それぞれについて、解説を加えなければわからないだろう思考法だが、いずれも英語に独特かつ典型的なものであり、英語のネイティブ・スピーカーであれば無意識に行っている思考法だ。
例えば、メロディーとか標識となる言語などは、英語を話す人々の会話には頻繁に出てくる法則のようなもので、皆、それを予測しながら話を聞き、会話を進めている。
また、なるべく論理的に話を進め、何を伝えたいのかがはっきりしているのが英語という言語の特徴だ。最後のメッセージデザインという思考法は、伝えたいことをスピーキングの最初から意識して組み立てることを意味する。
日本人は苦手とされる英語でのスピーキング。本書を読めば、多くの懸念が払拭され、自信を持ってプレゼンテーションができるようになるだろう。英語力を大きく向上させたい人は必読の一冊だ。