TOEICのスコアを上げる王道は、まず敵を知ることだ。TOEICは受験者の大半を日本人と韓国人が占めるが、日本では公開テストだけで年6回以上、地域によっては8回受験できる。受験者数も年々増加しており、試験対策がビジネスになっている程だ。
TOEICの試験問題は公開されていない。試験問題の持ち帰りは厳禁、管理は厳格だ。そうした中でも試験の傾向と対策は日韓ともに数多く出回っている。ただ、そのどれよりも試験傾向を的確に知ることができるのが本書だ。
試験問題を作成するETS(Educational Testing Service)が出版する公式問題集なのだから当然だ。これまでシリーズで5冊出ているが、この Vol.5 が最近時の傾向を表すものとして有効だ。
TOEIC公開テストも日々、進化していて、これまでも何回か形式や難易度を変更させてきた。対策が出回れば、当然対策つぶしの試験問題変更がなされる。
近年の傾向は読む分量がかなり多くなったこと、リスニングで米国英語だけでなく、英国、カナダ、豪州の英語発音が追加されたことだ。リピート受験者が増え、対策や学習ツールが発達するのに伴い、試験問題の難易度も上がっている。
本書は、TOEIC受験者には、何をおいても読まなくてはいけない必読書だろう。これだけをひたすら繰り返し学習して高得点を取る者もいる。それだけ実際の試験問題の本質を突いているし、且つ実戦的である。
中味の構成は、慣ならしの練習問題少々と、模擬試験が2セットだ。CDや解説もついているので、自習が可能だ。ポイントは、一度解いて点数の低さにがっかりして終わり、ではなく、繰り返し練習することだ。
英語は極端に言えば、スポーツの上達と同じトレーニングだ。あきらめずに継続すること。そのための一番の素材として本書を薦めたい。