これまでの起業スタイルとは違う、ありのままの自分で始められる「マイスタイル起業」というコンセプトがあります。失敗しない、新しい起業の仕方を公開する書を今日は紹介します。
中山マコト『自力で自立するマイスタイル起業』(パブラボ)
この本は、ビジネス作家兼フリーランス成功実現アドバイザーの中山マコトさんが、2001年の起業以来、550人以上の起業を支援してきたノウハウの集大成を記した書です。
まず中山さんは、「嫌でも滲み出てしまう個性」を武器に生きていく起業を「マイスタイル起業」と名づけて、「戦わない起業を実現しよう」と呼びかけています。
一人ひとりが本当に「個性=あなたらしさ」を発揮できたとしたら、「他の人が持っていない持ち味」を発揮することができたら、戦いがなくなる、ということです。
「世界にひとつだけの花」をめざす「マイスタイル起業」を成立させるには、以下の3つの大切なキーワードがあります。
1.あなたらしくある
2.あなたをきちんと評価してくれるクライアントと歩む
3.リスク無し、ストレス無し
この3つの法則を意識することで、「マイスタイル起業」は実現できる、と中山さんは言います。そして「誰かの役に立つ自分をイメージしよう」と提唱しています。
「誰かの役に立ちたい」という思い、これを著者は「社会との小さな約束」と言っています。自分は「社会にとってどんな存在」なのか、「どんな価値を提供する人」なのかを定義することが必要なのです。
これは「ミッション」(=使命)と同じ意味で、迷った時に戻ってこられる「起業の原点」です。これがあって「軸」がブレないから、周囲から応援も得られ、ファンを作り、「ブランド」が構築できるということです。
「マイスタイル起業」は、小さく確実に始めて、その人が望む一番気持ちの良い状態を作るための起業術です。だからこそ、周囲の人たち(クライアントも含めた)の応援をいただいたり、支援したりしながら生きていくスタイルです。
「マイスタイル起業」は生涯のビジネスパートナーを見つける起業スタイルですが、それには「持ち味」を徹底的に「尖らせる」必要があり、以下の3つの切り口が大切です。
1.自分で、新しい市場を作る
2.ターゲットを絞り切る
3.資格はそのまま名乗らず、ズラした表現をする
ほかにも「尖らせる」方法はありますが、なぜ「尖らせる」ことが必要かと言えば、それはあなたの「持ち味」をしっかりと発揮して、生涯付き合える、選び抜いた、気の合うクライアントに価値を提供する生き方を目指すからです。
「マイスタイル起業」は誰でもよいからたくさん寄ってきて、という発想はありません。そもそもたくさん寄ってきても対応できませんし、自分の価値を理解してくれるファンのクライアントとだけビジネスを行う、というコンセプトです。
「マイスタイル起業」は、徹底してクライアントを選ぶ生き方です。私たちは世界中の全ての人をクライアントにはできません。こちらからクライアントに矢印を向ける(=営業をかける)のではなく、向こうからクライアントが寄ってくる(=「ブランド」が「引力」を持つ)ビジネスのスタイルです。
では、「マイスタイル起業」のルールを以下の4つに整理しましょう。
1.戦わない起業を実現しよう
2.絶対に無理をしない
3.ペリフェラルを心がける
4.クライアントと私たち起業家は対等です
この中で、「ペリフェラル」は分かりにくいでしょう。一般に「周辺分野」を指す言葉です。つまり、これまでのあなたが積んできた経験、実績、スキル、ノウハウから近い、隣りの事業分野で勝負せよ、ということです。
この本の構成は、以下の成功の11ステップから成っています。
1.誰かの役に立つ自分をイメージしよう
2.自分なりのマイスタイル・ルールを決めよう
3.商品をつくろう
4.買ってもらう相手=ターゲットを決めよう
5.言葉にしなければ届かない、言語化の技術
6.マイスタイル起業デビューの手順
7.相思相愛のクライアントを見つけよう
8.必須!パソコン&インターネット簡単活用法!
9.クライアントとの関係維持
10.マイスタイル起業とお金
11.マイスタイル起業ガイドライン
この中で私が印象的だったのは6番目の「マイスタイル起業の手順」です。まずは「プロフィール」を作ろう、というのが村尾さんの教えです。
「プロフィール」に盛り込むものとして、以下の7つが必須事項です。
1.人となり(キャッチフレーズ&肩書、画像、ヒストリー)
2.こんな仕事が得意です
3.お客様からの声
4.こだわり
5.活動領域
6.価格の目安
7.連絡先
以上の要素の中でとくに大事なのが、1番目の「人となり」です。これが「あなたらしさ」であり、アイデンティティ(=独自性、USP)になります。
次に大事なのが4番目の「こだわり」でしょう。これがいわゆる事業の「ミッション」(=使命、社会的な存在価値)になります。もちろん、「こんな仕事が得意です」も、何をするのかという中心部分で不可欠です。
それから、名刺、挨拶状、DMなどのツールが挙げられていますが、本書でユニークなのは「ヒストリーカード」です。これは葉書大の両面カードで、プロフィールの縮小版になりますが、以下の3つを必ず入れます。
1.キャッチフレーズ&肩書
2.画像
3.ヒストリー
そして「ヒストリー」には次の3要素を入れ込みます。
1.こだわり
2.活動領域
3.実績
ヒストリーカードは、葉書サイズなので名刺と違って目立つし、プロフィールのエッセンスが盛り込める情報量なので、チラシ代わりに配ればたいへん効果的です。
また本書の巻末には「すぐに使えるセルフブランディングコピー100」が掲載されていて参考になります。
皆さんもぜひ、自分らしい「マイスタイル起業」をめざしませんか。「定年前起業講座」で、私も支援いたします。
では、今日もハッピーな1日を!