立花岳志氏は、2011年に17年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、41歳で独立してノマドワーカーとなった。月間160万PVの人気ブログ「No Second Life」を育て上げて、広告収入などで稼いで生計を立てている。
本書は、著者の独立した経験を、率直に具体的に描いたもので、誰でも独立して食べていけそうな気にさせてくれる本だ。とくに、仕事をしたり、生活をしていく上での心構えを述べたくだりは印象的だ。
構成は以下の通りだが、要所要所でビジネス書やその著者の言葉が紹介されていて参考になる。
1.ワークスタイルに自由を与える
2.他人に人生を左右されない
3.好きなことを思いっ切りやる
著者は、様々なメンター、パートナー、サポーターから数多くの影響を受け、現在のライフスタイルを確立した。影響を受けた人達との出会いや書籍の言葉などが具体的に書かれていて参考になる。
いくつかを紹介して行こう。まず、人間が大きく変わることについて、大前研一氏の次の言葉が印象的だ。
「人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの要素でしか人間は変わらない。」
ドリームキラー(夢を破壊する人)と付きあってはいけない、と著者は説く。人間が大きく変化するときには自然と付きあう人も変わっていくということだろう。
また、中谷彰宏氏の次の言葉も真実をついている。
「したい人、10000人。始める人、100人。続ける人、1人。」
実際に行動する人は1%であり、さらにその中で継続できる人は1%のみ、結局、全体の0.01%の人しか成功までたどり着けない、ということを中谷氏は述べている。けだし、名言だ。
立花氏は、21世紀のお金儲けのキーワードは、「誠実さ」 だと述べている。今は、「いくら儲けたか」 ではなく、いかに 「社会の役に立つことをお金儲けに融合させられるか」 で競う時代だ。
理念による経営は「共感の経営」であり、稲盛和夫氏の「京セラフィロソフィー」に通じるものもある。要するに、人としてどうあるべきか、ということだ。
著者は、ノマドライフやノマドワーカーという生き方にこだわりを持っている。独立してフリーになることはゴールではなく、始まりだという。何か新しいことに挑戦して、人生を大きく方向転換するには、自分の「コンフォートゾーン」を変える以外に方法はない。
顕在意識だけではなく、97%を占める潜在意識がその気になって変化していかなくては変わらないし、夢の実現はできない。
最後に、立花氏がメンター(勝手メンターもある)としてきた人々を挙げておこう。(敬称略)
1.吉越浩一郎
2.勝間和代
3.岡部明美
4.青木仁志
5.本田直之
6.村上春樹
本書は、生き方や人生設計、ライフスタイルなどを根本から問い直し、考えさせられる書だ。自分のキャリアにイノベーションを起こしたい人に、ぜひ推薦したい名著だ。