稲盛和夫氏は、鹿児島大学工学部を卒業し、京都セラミック(現・京セラ)を創業した。社長、会長を経て現在は名誉会長だが、その間、第二電電(現・KDDI)を設立して会長に就任。
2つの巨大企業をゼロから作り上げ、成長させてきただけでなく、会社更生法の適用を申請して倒産した日本航空(JAL)の会長として短期間で驚異的な再建を成し遂げた。
本書は、これらすべての経営にベースとなっている手法である「アメーバ経営」の精神的支柱とも言うべき、人生哲学を書いたものだ。これまでは、門外不出とされていたが、『京セラフィロソフィー』として、今回初めて公開・出版された。
稲盛氏の経営の真髄とも言うべき『京セラフィロソフィー』は、以下の構成から成る。
1.すばらしい人生を送るために
2.経営の心
3.京セラでは一人一人が経営者
4.日々の仕事を進めるにあたって
それぞれで述べられている人生の生き方や経営の原則として、主なものを紹介すると、以下のようになる。
1.きれいな心で願望を描く
2.一日一日をど真剣に生きる
3.心をベースとして経営する
4.公明正大に利益を追求する
5.値決めは経営である
6.売上を極大に、経費を極小に
7.現場主義に徹する
8.手の切れるような製品を作る
稲盛氏は、経営には単なるテクニックや戦略だけでなく、人として恥ずかしくない生き方をする、という精神や哲学が重要だという。
「アメーバ経営」の柱は、①工程別独立採算制度と②全員参加経営の2つだが、本書でもそれが繰り返し述べられている。誰にでも分かり易い平易な言葉と表現で繰り返される。
現場の作業員ひとりひとりにまで徹底して、全員参加経営を実現させるためだろう。本書は製造業だけでなく、あらゆる業種の会社経営に適用が可能で、大きな成果が実証されている。
ぜひ、全ての経営者、経営幹部、ビジネスに関わる方々に本書を推薦したい。