山根淳子氏は、独学で英語を勉強して英検一級を取得、その経験から本当の英語力を身につける方法を書いたのが本書だ。英検一級は、海外の大学からの評価も高い、英語の総合的な力が測れる試験だ。
ビジネス英語としては、TOEIC試験の知名度が断然高く、日本企業での採用も圧倒的に多い。ただ、TOEIC試験は、聴く、読むの受動的な英語能力の測定をもって英語力を得点化している。
最近は、ライティングとスピーキングを測定するTOEIC試験も別立てで用意したが、受験者は殆どいないのが現状だ。その点、英検一級は1次試験にライティング(英作文)があり、2次試験の英語スピーチはレベルが高く難関だ。
著者が「本当の英語力」を見につけるには英検一級をめざすのがよい、とするのは理にかなっているし、私もそう思う。ただ、英検一級はハードルが高い。私も何度か挑戦しているが、1次試験の突破すら難しい。私の場合は語彙力とリスニング力がネックだ。
TOEICで求める語彙はビジネスで頻繁に使われる単語に限定され、それ程多くない。対して、英検一級は学術用語を含む約10,000語と言われる。米国の大学入試の際に課されるTOEFL試験の単語とかぶるという指摘もある。
TOEFL試験は、我が国の大学入試でも導入が提言されている。もともと米国の大学に入学するための英語レベルをチェックする世界標準の試験だが、来年度からは国家公務員・総合職採用試験でも必須となった。
本書は、英語の文法をしっかり理解する、辞書を読む、ディクテーションによる正確な聴き取り能力をつける、など王道の勉強法を薦めている。なかなかにハードであり、継続が難しいが、やり遂げれば本当の英語力が養われるだろう。
今後、若者にとってはいやでも本物の英語力が求められる。世界70億人の中でのグローバル競争を勝ち抜くため、ぜひ読んで欲しい一冊だ。