小林伸治氏は、当時は40歳代後半のサラリーマンで、苦労して英語力を磨き、英検一級に合格、その体験を書いたのが本書だ。著者は、いわゆる帰国子女や英語エリートではなく、ふつうの中年サラリーマンなので興味深い。
英検一級は、昨日も書いた通り、本物の英語力が求められるため、英語オタクになるくらい熱中して勉強しないと、留学や海外居住経験なしでは合格が難しい。だからこそ、シロウト目線の本書は参考になる。
英語の勉強法という書籍を執筆する人は、英語で飯を食っている人が多く、いわば英語エリートだ。本書の場合は、シロウトがいかに英検一級レベルへ到達するかの実地ノウハウだ。
本書では、1日30分の学習、単語を覚える、英字新聞を読むなど、やはり王道のオーソドックスで地道な勉強を紹介している。著者は、高田馬場にあるCELという英語塾に通学していて、ここで学んだことは大きかったようだ。
CELは知る人ぞ知る、正統派の英語塾で、社会人や主婦など年配の受講者も多い。とくに英検一級の2次試験対策の講座は有名で、2次の英語スピーチが上手く出来ずに不合格になった人の駆け込み寺になっている。
私も受講経験があって、英検一級のためのボキャブラリーや読解を学んだ。授業や教材の質の高さは折り紙つきだ。本書は、CELで学んだ経験もベースになって書かれていると感じる。
本書にある勉強法はあくまで著者の経験だが、参考になるかどうかは読者の目指すものと実力・状況次第だろう。英検一級について羅針盤が欲しい人には多くのヒントを与えてくれる一冊として薦めたい。