園善博氏は、知る人ぞ知る、速読&速習セミナーを主宰するインストラクターで、述べ13,000人以上の受講者を世に送り出している。勝間和代さんなど、今や有名人となって成功している受講者も多い。
園氏は、自身の識字障害を記憶のメカニズムに合った読書法で克服し、その経験を活かして速読教室のインストラクターとなった。セミナーはつねに満席・キャンセル待ち状態となるカリスマ講師だ。
本書の冒頭で、著者は「人生の成否は読書によって決まる」と述べている。読書をしていると、思考力がつき、頭がよくなる。
読書はテレビと違って、文章から内容を理解しようとしたり、著者の考えや意図をつかみ取ろうとしたり、想像力を駆使してあれこれ考えながら読むので思考力が鍛えられる。
したがって、本当に満たされた人生を送りたいのなら、世の中の仕組みを知りたいのなら、本を読むべきだ、と園氏は言う。本書では、本を極限まで効率化して速く深く大量に読む方法を基本から述べている。いかに短時間で本のエッセンスを搾り取るかということだ。
本書は以下の5部から構成されている。
1.読めば読むほど脳が働く読書術
2.頭のいい人が実践している 「多読のコツ」
3.本を速く、効率的に読む方法
4.記憶術 ー 本と対話しながら読む
5.「本当に考える力をつける」 批判的読書法
園氏は、自らの読書経験から、読書に関するさまざまな名言、真理をつく言葉を記している。とくに私が感銘を受けたフレーズを以下に紹介したい。
1.本を読むと、自分の中に 「判断軸」 ができる
2.1000冊読破したら怖いものはなくなる
3.「考える力」 は、「自分の生き方を決める力」
4.不平不満をいうヒマがあったら本を読め
5.本は生存の必需品ではないが、人生の必需品だ
6.「人間の本質は変わらない」 ー だから古典を読む
7.本を読む人は 「一番の安全策」 を見つけることができる
8.読書家は 「感情のブレーキ」 を一瞬で踏める
9.世の中は単純ではない ー だから本を読む
10.本を読まないと、世の中の仕組みがわからない
著者は、多読のメリットとして次の7つを挙げている。
1.人間力がアップする
2.問題解決力がつく
3.表現力が豊かになる
4.論理力が向上する
5.アイデア力がつく
6.好奇心がよみがえる
7.マネーメーカーになれる
これからの世の中、生き残っていけるのは「頭のいい人」だ。立花隆氏は多読家として名高いが、読み方には次の2つのコツがある、という。
1.本の全体的な構造をつかむ
2.自分の気になるキーワードに関する部分を拾い出して読む
立花氏は、「本を読んでいくうえで何より大切なのは、その本が今の自分にとってどういう読みを要求しているかを素早く見極め、それにふさわしい読み方をすること」と語っている。
本を読む前に、本を読む目的をはっきりとさせ、目的に(具体的にはキーワードに)フォーカスして読むことが大切だ。最後に、本書で推奨する「批判的読書法」の8つのステップを紹介しよう。
1.テーマを決める
2.目次を読む
3.パラパラ読みをしながら本の内容や著者の考えをまとめる
4.本を読みながら疑問点を書き留める
5.同意できる点、同意できない点を書き留める
6.本の内容や著者の考えについてコメントする
7.自分の考えを箇条書きにする
8.キーワードや重要語彙のリストをつくる
本書の最後には、「仕事力を飛躍的に高める本のリスト」も掲載されていて参考になる。読書が好きな人はもちろん、そうでない人も本書によって大いに刺激を受けることは間違いない。経営者を目指す人はぜひ本書を読んで欲しい。