書評ブログ

園善博 『記憶によく効く!本の読み方ドリル』 (廣済堂出版)

本日もまた、速習法を開発した園善博氏の著書を紹介したい。本書は、園氏が開催する人気セミナーを図解で簡単に解説した書だ。

 

園氏が提唱する「速習法」とは、「本を読んでもなかなか頭に入ってこない」という人に対して、かつて「識字障害」で本が読めなかった困難を克服した経験を元に開発したメソッドだ。

 

著者は、読書に苦手意識のある人や、読んでも知識が頭に入らない人には、次の5つの思い込みがある、という。

 

1.本を読むには読解力が必要
2.本は全ページ読まなくてはダメ
3.本を読むには時間が必要
4.本を読むのはつまらない
5.本は、読めば理解ができる

 

本書によれば、まずはこうした間違った思い込みを捨て、本に対する抵抗感をなくすことから始めなければならない。

 

「速習法」とよく似た言葉に、「速読法」というのがあるが、これはまったくの別物だ、と著者は言う。「速読法」というのは、「本を速く読むこと」に主眼が置かれているが、「速習法」 は速く読むのではなく、「速く理解する」 ための読み方だ。

 

速読によって短い時間に何冊もの本を読破したとしても、内容を理解していない、読んだことを覚えていない、あるいは読んだことを活用して役立てることができない、ということでは全く意味がない、と園氏は述べている。

 

本書は、園氏が開催している実際の「速習法」セミナーで使用するメソッドを再現し、そのまま図解しており、以下のような構成となっている。

 

1.速習法を知ろう
2.速習法を実践する
3.5STEPでマスターする速習法
4.速習法 脳力UPトレーニング

 

園氏のセミナーは様々な演習を交えながら進められていくが、脳科学および認知心理学による 「科学的な裏付け」を持った実験を行うという側面を持っている。

 

脳科学の発達により、人間が記憶するメカニズムが明らかになりつつあり、それは脳の特性に基づくものだという。脳はもともと忘れるようにできている。

 

したがって、通常の「知識記憶」を、忘れにくい「経験記憶」に変えていくことが大切だ。そのためには、適切なタイミングにて復習することが有効だ。

 

本書は、園氏による他の著書と比べても各段に図や演習メソッドが多く紹介され、人気セミナーの実像が伝わってくる書だ。「速習法」に関心のある人々はもちろん、読書で結果を出したい全ての人々に本書を推薦したい。