加藤俊徳氏は、脳の画像診断では世界屈指の鑑定技術を持つ医学博士だ。脳の活動を画像化する脳科学の専門家であり、胎児から高齢者まで計1万人の脳のMRI画像診断を行った実績がある。
米国ミネソタ大学で、アルツハイマー病や脳画像の研究に従事、帰国後は慶応大学や東京大学で脳研究に従事している。本書は、加藤氏の研究成果をもとに、100歳まで脳が進化するメカニズムを明らかにしたものだ。
本書によれば、脳には以下の代表的な8種類の脳番地がある。
1.思考系脳番地(考えたり発想したりする)
2.感情系脳番地(感情に関する)
3.伝達系脳番地(発話や言語の操作)
4.運動系脳番地(体を動かす)
5.理解系脳番地(物事を理解する)
6.聴覚系脳番地(耳を使って聞く)
7.視覚系脳番地(目で物を見る)
8.記憶系脳番地(物を覚えたり思い出したりする)
それぞれの脳番地は個人や年齢によって使う頻度が異なり、発達に差が出る。脳は年齢や成長時期によって、より活発に成長する部分が移り変わっていく。脳は発達する順番が決まっていて、それぞれに育ちの旬の時期がある。
著者によれば、脳が変わっていく人生のシナリオは大きく次の4つの挑戦段階に分かれている。
1. 0~ 30歳 : 脳の成長準備期間
2.30~ 60歳 : 自分らしさを知り、世に表現する期間
3.60~ 90歳 : 自分も世の中も幸福にする期間
4.90~120歳 : 自分の生きた価値を後世に伝承する期間
以上のように、脳自体が変わっていくことで、自分の人生も変わっていくのだ。したがって、脳は100歳を超えても成長していくことになる。著者によれば、諦めたらそこで成長が止まるが、そうでなければ成長し続ける。
本書は、すべての人に生きる勇気を与え、生きがいをもたらす名著で、説得力もある。すべての人にぜひとも読んでもらい、有意義な人生として欲しい。