書評ブログ

伊関淳 『起業して3年以上「続く人」と「ダメな人」の習慣』 (明日香出版社)

伊関淳氏は、日本ヒューレットパッカードで18年間、大企業向け営業を経験したのち、42歳で行政書士として独立し、現在は起業支援コンサルタントとして活躍している。

 

自分自身の独立起業した経験も踏まえ、さらに1000人以上の起業家を、支援コンサルタントとして見てきた実例に基づいて、本書では起業が成功する人と失敗する人の特徴を整理して提示している。

 

起業には、「3年の壁」 というものがあり、ここを乗り越えて行くと成長軌道に乗っていくようだ。そこで本書では、起業して3年以上 「続く人」 と 「ダメな人」 とを対比して、それぞれに共通する習慣としてまとめている。

 

井関氏は、全部で50の習慣を、以下の7つの視点に整理して提示している。

 

1.起業の決意・準備
2.スタンス・姿勢
3.起業アイデア・計画
4.マーケティング・営業
5.お金・仕事スキル
6.タイムマネジメント
7.人脈・マネジメント

 

起業家の資質としては、もちろん起業してからの経営センスも重要だが、本書によれば、起業に至る準備段階での心構えや習慣が、その後の事業成功に大きく影響してくるようだ。私がとくに感銘を受け、共感した 「習慣の違い」 について以下に紹介しよう。

 

1.うまくいく人はタイミングを逃さず、ダメな人はマイペースに準備する
2.うまくいく人はピークで会社をやめようとし、ダメな人は転職も視野に入れている
3.うまく行く人は準備が整わなくても起業し、ダメな人は準備が整ってから起業する
4.うまく行く人はYESマンになりきり、ダメな人は自己主張をする
5.うまくいく人はスピリチュアル感覚を持ち、ダメな人はスピリチュアル感覚をバカにする

 
6.うまくいく人は小心者であり、ダメな人は気持ちが大きい
7.うまくいく人はあえて 「経験」 を忘れ、ダメな人は 「経験」 にこだわる
8.うまくいく人は無収入を覚悟し、ダメな人は無収入を想定していない
9.うまくいく人は当たり前を継続し、ダメな人は差別化を探している
10.うまくいく人はお客様を選り好みし、ダメな人はすべてのお客様を大切にする

 
11.うまくいく人は微妙なハッタリを言い、ダメな人は正直に言う
12.うまくいく人は簡潔に話し、ダメな人は丁寧に長く話す
13.うまくいく人は孤独な時間を大事にし、ダメな人は孤独な時間をなくそうとする
14.うまくいく人は忙しさの 「質」 を知っていて、ダメな人はなぜか忙しい
15.うまくいく人は類は友を呼び、ダメな人は自力で人を集める

 

いずれも、多くの起業家に接してきた著者の実感であり、説得力がある。一つひとつの習慣が心に響くものばかりであり、起業を目指す人には指針になるだろう。全ての起業家および起業家予備軍の方々に本書を心から推薦したい。