中島孝志氏は、早稲田大政経学部、南カリフォルニア大大学院修了後、PHP研究書、東洋経済新報社を経て独立した。経営コンサルタント、経済評論家として講演、執筆活動を行い、ファンも多い。
とくにセミナーは銀行、メーカー、外資系企業などから人気で、読書は年間300冊以上、著書も260冊を超える。情報の裏を鋭く分析する洞察力に定評がある。
本書は Kindle 版で、ほんとうに15分で一気に読める、それでいて内容が充実したお得な本だ。中国や韓国、北朝鮮のそれぞれが報道されている部分だけでなく、真の狙い、悩みなどを見事に描いてみせている。
中国は共産党の総書記がすべて権力を掌握しているとは言い難く、つねに地方ごとにに分かれた軍部の独走と、民衆の反乱など、内政問題が一触即発の状態が続いている。
反日活動などや対日強硬姿勢などは全て、内政の矛盾を外へ逸らすためのもので、ガス抜きの色彩が濃いという分析だ。実際に対日レアメタルの輸出禁止など、日本に対する制裁、強硬措置は返って自分の首を絞めた。
日本企業の高精度、高付加価値の部品が入らなければ、中国の組み立て加工工場による輸出企業が成り立たないのだ。ユーロ危機による中国から欧州への輸出激減で、中国経済の落ち込みは危機的な状況だ。
北朝鮮は、実質No.2の更迭、処刑により、親北京から親米・日へ大きく舵を切ろうとしている。慌てて中国は韓国への接近を試みているというのが、最近時の動きだ。
尖閣諸島や竹島問題で、中国・韓国はそろって対日姿勢を強めているが、ともに日本経済の支援がければ大打撃を受ける脆弱な経済基盤しか持っていない。通貨スワップ契約がなければ韓国ウォンの暴落再来の悪夢が頭をよぎっているはずだ。
日本は米国との同盟・協力関係を堅持しながら、沖縄を狙う中国に対し、しっかりと牽制、対応すべきだというのが著者の主張だ。中国は尖閣諸島の海底資源だけでなく、沖縄を領土として狙っているのは間違いないだろう。
米軍基地の沖縄県外への移転など論外ということだ。新の情報に迫る本書は一読の価値がある。多くの責任ある立場の方々に薦めたい。