3日連続でジョン・キム氏の著書を紹介する。本書は、「時間に支配されない人生」を送るには、いかに生きるべきかを説いたキム氏の名著だ。
本書の冒頭では、命には限りがあり、命の有限性を意識したとき、自分が幸福に向けてできる最大のことは、自分に残されている命=時間を、どんな活動にどう配分するかを考えることにある、と記されている。
本書は、自分が成長し続けていく幸せな人生を過ごすための指針が述べられているが、その根本である時間を支配することについて、序章で以下のポイントが挙げられている。
1.時間を使うとは命を削ること
2.自分が成長できる場だけに身を置く
3.一分一秒に明確な意味を持たせる
4.時間に人生を支配させてはいけない
5.集中力により時間の濃度を高める
6.悪い習慣を意識の闇から引き出す
7.未熟を知ることが成長の第一歩
8.無意識のポテンシャルを引き出す
9.「忙しい」 のは器が小さい証拠
10.夜の省察で時間配分の精度を高める
キム氏は、「すべてに時間を均等に配分することは人生に対する冒瀆である」とまで言っている。高い目標とタイトなデッドラインを掲げること、今の自分を基準にしてはいけない、ということだ。
序章に続いて、本書では次の7つのカテゴリー分けの構成で、途方もない成長を遂げるための考え方、心構えが記されている。
1.渇く
2.聞く
3.読む
4.選ぶ
5.掌る
6.創る
7.進む
順に、私が印象に残って心にとめているキム氏の教えを以下に紹介しよう。
1.成長したいと渇望する、自分の未熟さに向き合う、それが生きる力になる
2.結果の最終評価者は自分である、最善を尽くしたと納得できるなら、それは完全なる成功である
3.語りすぎてはいけない、自分の言葉の希少性を高めよ
4.互いに高め合える関係なのか見極めよ、聞く耳を持たない人に反論しても不毛である
5.一時間を読むことに費やしたら、その後三時間は考えることに費やすべきである
6.読んだことを成長にどう生かすか、行動を伴わない知は空虚である
7.何を選ぶかに正解はない、正解はその後の行動により自ら構築するのである
8.今日の自分は昨日より成長している、考えは変わって当然である
9.他者の自由意思を認めよ、それにより怒りは消え、自分が穏やかでいられる
10.創造的な人間でありたいなら、社会への違和感を蔑ろにしてはいけない
11.現状に満足しないことは、自分の可能性に対する最大のリスペクトである
12.運命との戦いにおいては誰もが勝者たりうる
本書は、『媚びない人生』や『真夜中の幸福論』とほぼ同じキム氏の哲学とも言うべき、生き方が示されているが、本書ではそのバックボーンが「読む」の章で一部、明かされている。それは以下の4人の哲学者の思想だ。
1.セネカ (内面的熟成の価値)
2.ショーペンハウアー (緻密な論理)
3.ニーチェ (理性への信頼)
4.ゲーテ (人間的魅力)
時間を大切にして自分らしい幸せな人生を歩みたい全ての人々に本書を心から推薦したい。