「習慣」の力を味方につけるか、つけないか、これが仕事、ひいては人生の勝負の分かれ目になる、と説く人がいます。『声に出して世みたい日本語』(草思社)がベストセラーになり、現在は朝のTV番組でMCも務める齋藤孝・明治大学教授です。
「習慣」は人間にとって、そこまで大切なものだというのは、世界で2000万部を超えるビジネス書としては異例のミリオンセラーとなったスティーブン・R・コヴィー著『七つの習慣』(キングベア出版)を読んでもよく分かります。そこで今日は齋藤孝さんのこちらの本を紹介します。
齋藤孝『人生を変える「習慣」の力』(成美文庫)
この本は、齋藤孝さんの持論である「ワザ化=習慣化によって余裕が生まれ、ストレス少なく仕事に対処できるようになる」という原理を述べたものです。
この本では、齋藤さんが習慣にしている以下の五つのテーマの習慣について紹介していますが、全ての習慣を真似る必要はないと断っています。一つでも二つでも習慣が身に付けばストレスは減っていきます。二週間続けることと説いています。
1.時間の習慣
2.手帳の習慣
3.ストレス対策の習慣
4.身体の習慣
5.知的生活の習慣
齋藤さんはそれぞれの習慣について「行動しなければ習慣は変わらず、人生は変わらない」と説いています。同じ話を聞いたり読んだりしても、変わる人と変わらない人の差は「行動するかしないか」です。
人間というのは、どんな環境に置かれても、慣れてくればストレスなく生活できるようになっています。自分にとっての新しい型を獲得していくのが人間らしい生き方です。それが「習慣化」ということだと著者は述べています。
成功するために「才能のある・なし」よりも大切なものが「どれだけの習慣がその人の中に蓄積しているのか」ということだ、と言われています。スポーツ選手でもビジネスパーソンでもそれは同じということです。
習慣は正しい型を、正しい手順で身につけなければならないと齋藤さんは言います。意識してやる目安としては、一週間から二週間くらいと見積もっておけばいいでしょう。
仕事について齋藤さんは次のように述べています。「仕事とは基本的に地味なもので、外から見れば派手に見えても、実際には同じことを繰り返しやっていることが多いものです。」
私も全く同感です。派手に結果を出す場合でも、その裏には毎日の地味な繰り返し作業が隠れているということです。大リーガーのイチロー選手の素振りなどを例にこの本では説明しています。
「時間の習慣」について、著者は以下の習慣が大切だとしています。
1.優先順位をつけて大事なものから手をつけていく
2.数分で考えをまとめる練習をする
3.たった10秒で自己アピールする
4.意味の含有率が高い話をする
次に「手帳の習慣」については以下を挙げています。
1.仕事の優先順位を見える化する
2.思考の道具として手帳を活用する
3.手帳を二冊セットで持ち歩く
「ストレス対策の習慣」については以下の「心の習慣」が大切です。
1.どんなにたいへんな作業でも慣れることによってストレスが減る
2.複雑な作業をパターン化してしまう
3.悟りを開く呼吸法を使う(三秒吸って二秒止めて十五秒で吐く)
4.目の前のことに集中すると結果もよくなる
5.自分のストレス許容量を把握しておく
「身体の習慣」は私も健康法に関心がありますが、ずばり次の三点。私と全く同意見です。
1.規則正しい生活
2.バランスのよい食事
3.適度な運動
規則正しい生活の中に、「人間が本来眠るべき時間帯にきちんと質の高い睡眠を取る」ということが含まれるという解釈で、私と全く同じ見解ということです。もうひとつ「自律神経のバランスをとる」という重要なことが付け加えられています。これも同感です。
自律神経のバランスとは、アクティブな(=興奮状態の)交感神経とリラックスする(=休息の)副交感神経のバランスを維持するということで、順天堂大学医学部の小林弘幸先生がその道の権威です。
最後に人間力を高める「知的生活の習慣」について、齋藤さんは次の習慣を推奨しています。
1.待ち合わせ場所を本屋にする
2.尊敬する人の考えを本で学ぶ
3.難しい話は解説本で理解する
4.人生に迷ったら本屋に行ってみる
5.カフェは知的作業に最適な空間
これらの習慣も私は賛成するものばかりです。とくに上記1の「本屋で待ち合わせ」や5の「カフェで知的作業」は、他の本でも推奨されていて、まさに私の「日常」そのものです。
カフェを中心に「サードプレイス」で「ノマドワーキング」のスタイルで、好きなことを仕事にしよう、が私のモットーです。それが、「自分が主役の人生」ということになるでしょう。
では、今日もハッピーな1日を!